2016年8月
2曲線の間のパス空間に制限されたWiener汎関数積分に対する微分連鎖律とバリア・オプションのGreeksの解析的評価方法
日本応用数理学会 2016年度年会 講演予稿集
- 開始ページ
- 154
- 終了ページ
- 155
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究発表ペーパー・要旨(全国大会,その他学術会議)
本講演では,2曲線の間のパス空間に制限されたWiener汎関数積分に対する微分連鎖律を用いてバリア・オプションの感応度(Greeks)を解析的に評価する方法を提案する。講演では,Black-Sholesモデルに従う原資産価格過程があらかじめ定められた期間中に上下2つのバリアの何れか一方に達するとオプションの権利が消滅するノックアウト・オプションについて考察する。ペイオフ関数がヨーロッパ型であり,上下のバリアが時間変数に関して定数関数の場合は,ノックアウト・オプションのGreeksの計算公式は既に知られている。一方で,一般のペイオフ関数の場合や上下のバリアが時間曲線の場合にノックアウト・オプションのGreeksを解析的に計算する方法はこれまで知られておらず,またこのGreeksはノックアウト・オプションの理論価格のパラメータ微分であるためモンテカルロ法で高精度に近似することも困難であった。そこで本講演では,バリア・オプションのGreeksを2曲線の間に制限されたWiener汎関数積分に対する微分連鎖律を用いて解析的に計算する手法を提案し,その有効性を示す。更に,この微分連鎖律においてあらわれる境界項の具体形を紹介し,境界項を特徴付ける測度は上下2つのバリア曲線のいずれかにちょうど1回だけ触れるパスの集合上に台(support)を持つことを示す。
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