共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年5月 - 2018年3月

バリア・オプションのGreeksの統一的な計算手法の確立

首都大学東京 大学院理工学研究科  傾斜的研究費(若手奨励経費)  

担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
405,000円
(直接経費)
0円
(間接経費)
0円
資金種別
競争的資金

<本研究の目的> 本研究の目的は、様々なタイプのバリア・オプションのGreeks(パラメータ感応度)を、高速かつ高精度に計算する統一的な手法の提案を目指すものである。
<背景> オプション取引を行う場合に、事前にそのリスクを正確に把握することは重要な課題であるが、リスク計算のベースとなるオプション価格は原資産の価格やボラティリティなど様々なパラメータに依存している。これらのパラメータが変化する場合にオプション価格に与える影響はGreeksと呼ばれる。
<本研究の意義> リスク管理のためのシナリオ策定やオプションを活用した原資産の値下がりリスクのヘッジのためにはGreeksを正確に計算することが必要となる。金融実務において、バリア・オプション(原資産価格が予め定められた期間中にオプショントリガーと呼ばれる値に達すると権利が消滅(または発生)するオプション)は広く利用されており、適切なリスク管理を可能にするGreeksの計算方法の研究のニーズも高いが、従来の研究では、その数学的困難さゆえに、特定のバリア・オプション(ヨーロッパ型のペイオフ関数と定数のトリガーを持つタイプ)を除き、未だ統一的な計算方法が確立されていない。そこで本研究では、従来よりも複雑なケースにおけるバリア・オプションのGreeksの計算方法を確立する。具体的には、申請者が提案した「Wiener汎関数積分に対する微分連鎖律」(※以下では、提案手法と呼ぶ)を応用することで、①ヨーロッパ型のみでなく、ルックバック型やアジア型などのペイオフ関数とオプショントリガーを組み合わせた一般的なバリア・オプションのGreeksの計算が可能となり、②オプショントリガーが時間に応じて変化するような複雑なトリガー条件を持つバリア・オプションのGreeksを計算することも可能となる。これにより、従来は計算が困難であった様々なタイプのバリア・オプションのGreeksを統一的に計算することが可能となり、今後金融商品の設計の自由度が飛躍的に増すことが期待される。

この研究課題の成果一覧

論文

  3

講演・口頭発表等

  2