2021年4月 - 2025年3月
学習の躓きを診断し克服するための統計学的方法:デジタル問題集の基盤開発と実践
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
研究開始初年度である本年度は、現実場面の教育データに対して実践的な到達度の推定・診断を可能とすべく取り組んだ、認知診断モデルの高速・高効率な推定法開発について、とくに大きな研究の進展があった。具体的には、第一に診断対象特性(アトリビュート)が多値をとる場合にスケーラブルで高速な診断を可能にする、変分ベイズ推定アルゴリズムを開発し、その有用性を数値シミュレーションと実データで確認した。第二に、不正確な診断を招いてしまう、推定時の境界問題を解決した崩壊型ギブスサンプリングによる推定アルゴリズムを開発し、また評価検証した。第三に、認知診断モデルを用いた診断の信頼性を評価する上でなくてはならない信頼性係数を、条件付き得点分布の導出によって開発し、評価検証した。第四に、従来の方法が実現できていなかった、意味のある解釈上必要なパラメータ制約を導入しながら高効率な推定・診断を可能にする、ギブスサンプリングによる推定アルゴリズムを開発し、評価検証した。以上の成果は、いずれも研究分野の代表的な国際学術論文誌に査読付き論文として採択され、発表された。これらに加えて、学習者の問題文読解時におけるメタ理解判断プロセスについての認知モデル開発を行い、和文誌に査読付き論文として発表した。さらに、多数の国際および国内学会において最新の成果や知見を発表した。これら一連の研究によって、デジタル化された教材や問題集への日々の取り組みの中で学習者の学習理解度や躓きを診断し、個々人に対して適応的な学習課題提示を行うための基盤となる統計学的方法論開発を行うことができた。
- ID情報
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- 課題番号 : 21H00936
- 体系的課題番号 : JP21H00936
この研究課題の成果一覧
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論文
3-
Psychometrika 87 1390-1421 2022年 査読有り筆頭著者責任著者
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Behaviormetrika 49 47--68 2022年 査読有り筆頭著者責任著者
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Journal of Classification 39 24-54 2022年 査読有り筆頭著者責任著者