共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

閉鎖海域におけるクロダイ浮性卵をモデルとした資源生態学的研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

課題番号
18J22335
体系的課題番号
JP18J22335
配分額
(総額)
2,800,000円
(直接経費)
2,800,000円
(間接経費)
0円

魚類の持続的な資源管理において、初期生活史の減耗実態を把握することは重要だが、魚卵期の減耗については、サンプル確保や種同定の困難さから自然界における知見が乏しい。本研究では、これらの障壁を克服している広島湾クロダイをモデル生物とし、魚卵期の減耗実態を解明することを目指した。また近年、広島湾クロダイの資源量は減少しているため、本種の資源管理に必要となる産卵生態に関する知見を収集した。
まず、魚卵の発生段階をDNA量から推定するため、DNA量と各発生段階との検量線の作成を試みた。平成30年度に得た17発生段階のクロダイ受精卵を使用して検量線を作成した結果、DNA量の増加幅は想定より小さく、各発生段階の卵のDNA量は個体によるばらつきが大きかった。よって、DNA量から魚卵の発生段階を推定することは困難であったため、クロダイ卵の発生段階は、予備プランである実体顕微鏡による観察によって特定した。
また、平成30年度に引き続き、本種の産卵時間調査を行った。令和元年度は、受精直後である1細胞期卵の出現の時間変化だけでなく、2細胞期から32細胞期の受精卵について、各発生段階の発生時間から受精時間の推定も行った。卵調査の結果、1細胞期卵は17-19時に多く出現し、受精時間の推定結果は18-20時に集中した。本種の産卵は日没前後に集中すると推測された。
令和元年度は、本種の産卵期における行動を把握するため、超音波バイオテレメトリ―手法を用いたマガキ養殖場における本種の行動調査を行った。発信器を装着した5個体のうち4個体の追跡に成功し、いずれも放流地点近くのカキ筏に留まったため、大規模な産卵回遊は行わないことが示唆された。そのうち2個体は、産卵時間と推定される日没前から21時頃にかけて、急浮上・下降行動を頻繁に繰り返した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18J22335
ID情報
  • 課題番号 : 18J22335
  • 体系的課題番号 : JP18J22335