共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2023年3月

食物網構造とCO2ガス交換のカップリングによる浅海域における炭素循環の統一的理解

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

課題番号
18H04156
体系的課題番号
JP18H04156
配分額
(総額)
44,070,000円
(直接経費)
33,900,000円
(間接経費)
10,170,000円

浅海生態系では,水温,栄養塩濃度,光量などの外部環境が海草藻類や植物プランクトンといった一次生産者の現存量や生産速度を決定するとともに(ボトムアップ効果),植食動物による植食(トップダウン効果)にも強く影響を受ける.すなわち,大気-浅海生態系間のCO2ガス交換は,ボトムアップ効果とともに植食者を鍵とする食物網構造によっても決定づけられると考えられる.したがって本研究では,一次生産者の現存量と生産速度に影響を与える因子として植食動物に焦点を当て,現地調査と操作実験により食物網構造とCO2ガス交換過程の関連性を実証する.そして,浅海域における望ましい炭素循環像に迫るため,「炭素のストックとフロー」という共通の過程から食物網構造とCO2ガス交換過程を統一的に理解すること目的とする.
<BR>
当該年度は,生態系純生産量に影響を与える一次生産や植食者に焦点を当て,比較研究が可能な現地調査場所や時期を選定し,炭素,栄養塩といった流入負荷物質や,温度,光環境などを勘案したうえで食物網構造の影響が検討できる砂泥性海草藻場と岩礁性大型海藻場において,現地観測を実施した.植生の空間分布とバイオマスの変化を三次元的に捉えるため,現場実測,ドローン空撮,GIS解析などの手法を適用した.また,同位体比測定用のサンプルを採取するとともに,バルク法やチャンバー法を用いて,炭素動態把握のためのデータを収集した.
<BR>
海草の地下部から供給される有機物が堆積物中の炭素貯留に与える影響,渦相関法によるガス交換速度測定の解析手法,内湾スケールのガス交換過程を含む炭素循環モデル,干潟生態系における炭素貯留機能を含む生態系サービスの定量化,海面上昇が堆積物中の炭素貯留に与える影響,炭酸カルシウムの堆積がガス交換に与える影響など,英文査読付き論文を6編公表するとともに,ブルーカーボンに関する英文著書を編集し出版した.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18H04156
ID情報
  • 課題番号 : 18H04156
  • 体系的課題番号 : JP18H04156