MISC

2019年

胎盤に発現するアミノ酸トランスポーター遺伝子Slc38a4のノックアウトマウス胚は胎盤低形成および胎児発育不全を示す

日本繁殖生物学会 講演要旨集
  • 的場 章悟
  • ,
  • 中牟田 祥子
  • ,
  • 三浦 健人
  • ,
  • 廣瀬 美智子
  • ,
  • 中牟田 信明
  • ,
  • 小倉 淳郎

112
0
開始ページ
P
終了ページ
85-P-85
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.14882/jrds.112.0_P-85
出版者・発行元
日本繁殖生物学会

<p>【目的】哺乳類の胎盤は母体—胎児血流間の栄養・ガス交換をはじめ,胚発生を支える重要な機能を持つ。胎盤を介して胎児に供給される栄養源には糖・脂質・アミノ酸などが含まれるが,その供給に関わる分子メカニズムは詳細に解析されていない。本研究では,細胞内への中性アミノ酸の取り込みを担う「システムAアミノ酸トランスポーター(SNAT)」に着目し,SNATをコードする3種類の遺伝子Slc38a1Slc38a2Slc38a4について,胎盤および胚の発生における機能を解析した。【方法・結果】まず,SNATファミリー遺伝子の様々なマウス組織における発現をRT-qPCRによって解析した結果,3つの遺伝子は全て,胎盤で高発現していることが分かった。そこで,Triple-target CRISPR法によって3種類のSNAT遺伝子についてノックアウトマウスを作製した結果,Slc38a4をノックアウトした時のみ胎盤の重量がコントロールと比べて30%ほど減少した。さらに,Slc38a4ノックアウトにより胎児重量も25%ほど減少した。Slc38a4は父方アレルから発現するインプリント遺伝子であるため,父方アレルを欠損したヘテロ胚も,ホモノックアウト胚と同様の表現型を示した。免疫染色によってSNAT4の局在を見ると,胎盤形成初期の絨毛膜領域で強く発現しており,ノックアウトマウスではこの領域の細胞分裂頻度が低下していた。また,胎盤形成中期以降は母体—胎児間の栄養交換を行うラビリンス層で発現していたため,胎児血漿のメタボローム解析を行ったところ,ノックアウトマウス胚では多くのアミノ酸の血中濃度が顕著に低下していた。【総括】以上の結果は,Slc38a4遺伝子がマウスの胎盤形成および胚発生において重要な機能を持つことを示している。SNAT4はヒトを含めた他の哺乳動物種の胎盤でも発現しているため,本研究で作製したSlc38a4ノックアウトマウスは胎盤形成異常およびその結果起こる子宮内発育遅延(IUGR)の良いモデルとなる。</p>

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.14882/jrds.112.0_P-85
J-GLOBAL
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201902245315080865
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/130007719356
ID情報
  • DOI : 10.14882/jrds.112.0_P-85
  • ISSN : 0916-8818
  • J-Global ID : 201902245315080865
  • CiNii Articles ID : 130007719356

エクスポート
BibTeX RIS