共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2020年3月

7,8-ジヒドロキシフラボンのNASHにおける病態改善メカニズムの解明と治療応用

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
17K09409
体系的課題番号
JP17K09409
配分額
(総額)
4,550,000円
(直接経費)
3,500,000円
(間接経費)
1,050,000円

本研究の目的は、ヒト非アルコール性脂肪肝炎(NASH)のモデルであるメラノコルチン4受容体ノックアウト(MC4R-KO)マウスを用いて、BDNF受容体であるTrkBに対するアゴニストの7,8-ジヒドロキシフラボン(7.8-DHF)によるNASH病態改善作用およびそのメカニズムを解明することである。野生型マウスとMC4R-KOマウスに高脂肪食を負荷し、同時に7,8-DHFを与えた群と、与えなかったコントロール群を作成し、20週間後に肝臓、骨格筋、脂肪、血液などの検体採取を行った。MC4R-KOマウスは、野生型マウスに比べ、20週間後に有意に体重が増加した。しかし、MC4R-KOマウスで7,8-DHFを与えた群と与えなかった群の間には、20週間後の体重や肝重量、内臓脂肪重量には両群間で有意差を認めなかった。肝組織像では、7,8-DHF群で脂肪沈着や線維化面積が軽減している傾向がみられたが、有意差は認めなかった。また肝線維化に関わるTGF-β1、MMP2、Col1a1の肝組織中mRNA発量は、両群間で有意差を認めなかった。血液生化学検査でも、AST、ALT、中性脂肪、総コレステロール値に有意差を認めなかった。NASHモデルにおける7,8-DHFの病態改善効果はかなり限定的であり、新規治療法として開発を進めていくのは困難と考えた。しかし、MC4R-KOマウスはヒトNASHの全身病態に酷似しており、NASHモデルマウスとして非常に有用性が高いことが確認できた。これまでの基礎データを活用しながら、現代社会のライフスタイルに即して少量アルコール負荷を加えたNASHモデルも追加作成し、NASH発症への少量アルコールの関与とそのメカニズムにつき解析する計画に変更し、解析を進める方針とした。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17K09409
ID情報
  • 課題番号 : 17K09409
  • 体系的課題番号 : JP17K09409