共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2023年3月

和歌・和文から見た琉球・日本の文化交流

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
19K13341
体系的課題番号
JP19K13341
配分額
(総額)
3,770,000円
(直接経費)
2,900,000円
(間接経費)
870,000円

2019年度は主に、近世の琉球士族によって記された和歌・和文の注釈作業を進めた。まずは、識名盛命が1700年に記した紀行文『思出草』上巻を琉球文学研究者・日本文学研究者とともに講読し、先行する池宮正治による注釈を発展させる形で新たな注釈の作成を行った。『思出草』上巻では薩摩滞在中の琉球士族と薩摩役人との交流の様子が描かれており、登場する人々の人物比定の点で課題を残すものの、鹿児島での琉球士族の活動を垣間見ることができる。
加えて、琉球文学研究者・和歌研究者と共に近世後期の琉球の歌人である浦添王子朝憙の和歌の注釈作業を進めた。琉球士族の和歌については池宮正治によって全体像が示されており、作品も収集されてきたが、作品の細かい分析はこれまであまり行われてこなかった。和歌の注釈作業を進めることで、琉球士族が先行するどのような作品を踏まえていたのかを、わずかながらも窺うことができるように思える。この和歌の注釈に関してはまだ成果を活字化していないが、今後、発表していきたいと考えている。
概して、2019年度は研究の基礎となる注釈作業が主な研究成果であったと言えよう。また、鹿児島県内の図書館等において、琉球・薩摩の和歌関係の資料の探索を進めた他、琉球の人々と近世日本の人々の交流を生んだ漂着に着目し、漂着関係史料の収集・分析も行った。次年度以降も、琉球士族の残した作品の注釈作業と漂着関係史料の分析を進め、近世の琉球と薩摩・日本の交流の実態を捉えることを目標としたい。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K13341
ID情報
  • 課題番号 : 19K13341
  • 体系的課題番号 : JP19K13341