共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年6月 - 2023年3月

多細胞システムのパターン形成を駆動するシンギュラリティ細胞の同定と操作

日本学術振興会  科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)  新学術領域研究(研究領域提案型)

課題番号
18H05415
体系的課題番号
JP18H05415
配分額
(総額)
128,960,000円
(直接経費)
99,200,000円
(間接経費)
29,760,000円

1万個の細胞がcAMPパルスを臨界成長させる系では、いち早くcAMPパルスを開始するリーダー細胞(シンギュラリティ細胞)と、その信号を増幅成長させるフォロアー細胞(シンギュラリティ機構)が見出される。集団のわずか1%程のこれらの細胞が、集団全体の信号伝達動態を大きく左右することを検証するには、リーダー細胞とフォロアー細胞、そしてこれらに従属的なシチズン細胞の集団内組成を任意に再構成し、臨界に与える影響をアッセイする社会操作実験を行う必要がある。平成30年度は、リーダー細胞とフォロアー細胞を識別できる光変換型cAMP指示薬の開発を試みた。赤色cAMP指示薬(R-FlincA)の蛍光レポーター部分を光変換型蛍光タンパクに置換するため、mEOS2の円順列変異体15種とR-FlincA(PKA)への挿入部位13種の組み合わせとして合計195種類の候補指示薬を作成した。これらを導入したHEK293細胞をFSK刺激することで、顕著な蛍光強度の減少を示すものを選別した。さらにcAMP存在下で刺激光照射(405nm)すると、緑色蛍光が赤色蛍光に不可逆的に変化する一方、cAMP非存在下では光応答性を持たないものを同定し、GR-FlincA(green to red fluorescent indicator for cAMP)と名付けた。HEK293細胞での機能検証の結果、GR-FlincAはcAMPに対して100%の信号変化率を持つこと、光活性化コントラストがcAMPの有無で2.5倍変化することを明らかにした。また、ゲノム編集を活用して細胞分裂回数のメモリーモジュールの開発を進めた。分子内の異なる3箇所で分断させたsplit型Cas9と、G1/G0期に安定化されるCdt1、S/G2/M期で安定化されるGeminin1との融合タンパク質とを連結させた融合タンパク質発現システムを6組み合わせ作成し、HEK293T細胞で発現させ、細胞分裂と連動してCas9酵素が活性化される候補を同定した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PLANNED-18H05415
ID情報
  • 課題番号 : 18H05415
  • 体系的課題番号 : JP18H05415

この研究課題の成果一覧

論文

  1

書籍等出版物

  3