共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

学習する市民の政治的価値観の形成過程:分極化による集団間対立を抑制する条件の探求

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究
  • 荒井 紀一郎

課題番号
18K12705
配分額
(総額)
4,160,000円
(直接経費)
3,200,000円
(間接経費)
960,000円

市民が有する政治的価値観は、彼らの若い時期に政治的社会化によって形成され、一旦形成されると比較的安定するといわれてきたものの、その形成と変容の過程については未解明な部分が多い。本研究の目的は、個人の政治的価値観の形成および変容過程、そして彼らの政治的価値観が集団レベルで分極化していくメカニズムを強化学習という観点から解明することにある。
本年度は、1.有権者の政治的価値観の変化と2.政治家の政策選好の変化という2つの変化のメカニズムを探る分析をおこなった。まず、有権者の政治的価値観の変化については、自然災害という有権者が元々有している政治的価値観とは関係なく発生する事象を分析対象とすることで、因果効果の厳密な測定を試みた。分析の結果、被災の程度が大きい有権者ほど首長、地元の国会議員そして与党に対して批判的になり、地域に対する帰属意識も低下することが明らかになった。次に、政治家の政策選好の変化については、選挙前に複数の新聞社が実施している候補者調査データを用いることで、実施主体である新聞社や調査年によって「同じ候補者の同じ質問に対する回答」が大きく変化する場合があることを明らかにした。たとえば、その選挙において有権者の関心が高い分野については、各候補者は自分の回答が公表される新聞社が実施する調査と、そうでない新聞社が実施する調査とで回答が変わる傾向があり、そうした傾向は異なる選挙でも継続していることが明らかになったのである。これらの成果は、Harvard Symposium on Japanese Politics(2018年8月), 日本行動計量学会(2018年9月)、日本政治学会(2018年10月)で報告された。