共同研究・競争的資金等の研究課題

2002年 - 2003年

冷戦期ソ連外交における軍事介入決定に関する研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
14520104
体系的課題番号
JP14520104
配分額
(総額)
1,300,000円
(直接経費)
1,300,000円

本研究では、冷戦期のソ連が軍事介入決定を行った複数の事例を取り上げ、それらの事例の比較検討によって、軍事介入決定におけるソ連外交政策決定の特色を見出すことを試みた。
具体的には、冷戦期ソ連が国境を接した地域への軍事介入を実施もしくは検討した事例、および、介入から転じて撤退した事例として、1950年の朝鮮戦争(スターリン期)、1968年のチェコスロバキア事件(ブレジネフ期)、1979年のアフガニスタン侵攻(ブレジネフ期),1981年のポーランド危機(ブレジネフ期)、1988年のアフガニスタン撤退(ゴルバチョフ期)を取り上げた。
これらの事例の比較検討から、当時のソ連側の政策決定の要因と政策決定過程を分析した。政治学視点のみならず、一次資料の収集分析から冷戦史を再検討していくことにも留意し、冷戦期ソ連外交の軍事介入決定の特色を検討した。
現在、フルシチョフ期のハンガリー動乱に関しては研究中であるが、スターリン期からゴルバチョフ期までを通じて、ソ連の軍事介入決定に共通した大きな点として、イデオロギー的要素よりも現実主義(リアリズム)的要素が介入の決定に大きく影響していた点が発見された。
イデオロギーは、誰が敵で味方であるかという認識に対して影響をもったという点において影響力があったことに間違いはないが、介入決定に際してソ連は、同盟国の利益よりもソ連の国益を優先しており、「共産主義国の連帯と共存」を謳うイデオロギー要因の影響は限定的であったと言える。また、すべての事例において、米国がどのような対応に出るのかについてソ連内部で熱心に議論されており、ソ連外交における米国要因の占める割合が非常に大きかったことが再確認された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-14520104
ID情報
  • 課題番号 : 14520104
  • 体系的課題番号 : JP14520104