2005年4月
ナノテク革命を勝ち抜く! : ビジネスマンのためのナノテク入門
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- 出版者・発行元
- 講談社
- 総ページ数
- 246p
- 担当ページ
- 記述言語
- 日本語
- 著書種別
- DOI
- ISBN
- 4062127180
「鉄鋼よりも10倍強く、しかもずっと軽い材料を開発する」 「国会図書館の情報を角砂糖の大きさのメモリに収容する 」「ガンを細胞数個程度の段階で検出する」 2000年、米国の「国家ナノテクノロジ-戦略(NNI:National Nanotechnology Initiative)」として、当時のクリントン米大統領が述べたナノテクノロジー(以下ナノテクと略す)により実現が想定される成果である。 鉄より10倍強くしかもはるかに軽い、角砂糖の大きさの図書館情報メモリー、ガンの超早期診断技術、こうした夢の技術が実現すれば、我々の生活を革命的に変える。ただ、この革命的な技術革新は、遠い未来のSFのお話ではなく、ごく身近に迫っている。少なくとも米国は、そう認識しており、その国家的プロジェクトとしてNNIを発表した。 IT革命が進展する90年代以前の米国では、ITが経済・社会を大きく変革するとの確信を元に多くの起業家が、このIT革命をチャンスと捉え、次々とビジネスを立ち上げ、世界的な企業にまで成長させた。 偶然の産物もあっただろう。しかし、マイクロソフト、シスコシステムズ、オラクル、インテル、サンマイクロシステムなど数多くのITベンチャ-が急成長した。IT革命の進展と共に、パソコンやインタ-ネットが産業として急速に発展、グロ-バルな市場を開拓する中で、こうした急成長ベンチャ-が世界的な企業へと躍進を遂げた。こうした新産業、急成長ITベンチャ-の創出が、90年代の米国経済再生の一因といわれる。 米国が、経済的成長を謳歌した90年代、日本は、”失われた10年”とも言われ、バブル崩壊後の長引く不況に苦しんだ。この原因のすべてを急成長ベンチャ-に求めるわけにはいかない。財務当局の政策の失敗、土地神話に基づく金融機関の融資姿勢、過剰債務企業など要因は複合的である。 ただ、日本の90年代において、停滞する既存産業とは別に、米国の急成長ベンチャ-のような新産業創出の起爆剤となる急成長ベンチャ-がほとんど育たなかったことが、経済的活力低下の大きな要因の1つであった。ITのもたらす革命的なインパクトを察知し、それをビジネスへ結びつけようとする起業家、既存企業のビジネスマンが、米国と比較して少なかった。 ITと同様、ナノテクの裾野は広い。分野横断的技術であるナノテクは、IT、バイオなど広範囲の分野で既存の技術基盤を一新し、医薬品、パソコン、自動車、流通、衣料品、食料品などあらゆる産業や社会を大きく変革する可能性を秘めている。IT革命に次ぐ、ナノテク革命と呼ばれるゆえんである。 ナノテクは、幸いにも日本が得意とする“ものづくり”をさらに強化し発展させるキーテクノロジーである。基礎研究分野においては、欧米に匹敵あるいは、欧米を上回るレベルにある分野が多数存在する。 このように注目されるナノテクだけに、ナノテク関する書籍は、これまでに多数存在する。しかし、その多くは、テクノロジ-の側面に重点を置いたもので、ナノテクをビジネスマンの視点で解き明かした書籍は意外と少ない。 書籍に限らず、国内外の学術研究成果を見ても、ナノテクビジネスに関する体系的、かつ実証的な研究はそれほど多くはない。ナノテクビジネスは、各国の産業界でも本格的な取り組みが始まったばかりで、具体的な成功例が限られていることが大きな要因であろう。 ナノテクなど先端的科学技術のビジネス化においては、大きく基礎研究、製品開発、事業化の3つの段階がある。基礎的な科学的研究をもとに、ビジネスの有力な武器となる特許などの知的財産権を取得するまでの基礎研究段階、特許などを活用して試作品の開発や市場に耐えうる製品を開発する製品開発段階、新たな市場を形成し、ビジネスとして成り立つ一定程度の売り上げを確保する事業化段階と、一口にナノテクのビジネス化といっても、成功までの道のりは長く険しい。 ナノテクビジネスに成功するためには、こうした各段階の経営課題を1つ1つクリアしなければならない。こうしたビジネス化へ至る道のりは厳しく、こうした困難さを例えて死の谷ともいわれる。 本書は、実際のビジネスの現場の様々な事例や学術研究成果などをもとに、「どうすれば来るべきナノテク革命を勝ち抜くことが出来るのか」について、知っておくべき心得を示している。 現在、ナノテクビジネスにかかわっておられる技術者はもちろん、これからナノテクビジネスを担当する可能性のあるビジネスマン、ナノテクビジネスへの投資を検討している投資家などに向けて、ナノテクビジネスの基本的な“心得”をまとめている。これまで先端技術に縁のなかった方々にも、読んで頂けるように、できるだけ専門的な用語は使用していない。 ナノテクビジネスは、今後日本経済の再生のカギを握る重要な要素の一つであることは間違いない。この本を読んだ方の一人でも多くの方が、ナノテクビジネスで成功することを祈ってやまない。
- リンク情報
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- CiNii Books
- http://ci.nii.ac.jp/ncid/BA71612066
- URL
- https://www.researchgate.net/publication/375379978_nanotekugemingwoshengchibaku-bijinesumannotamenonanotekurumen
- URL
- https://www.academia.edu/108917742/%E3%83%8A%E3%83%8E%E3%83%86%E3%82%AF%E9%9D%A9%E5%91%BD%E3%82%92%E5%8B%9D%E3%81%A1%E6%8A%9C%E3%81%8F_%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E3%83%8A%E3%83%8E%E3%83%86%E3%82%AF%E5%85%A5%E9%96%80
- ID情報
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- ISBN : 4062127180
- CiNii Books ID : BA71612066