共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

集合現象のダイナミクスを支える認知・生理プロセスとその神経基盤の検討

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費 DC1  特別研究員奨励費

課題番号
18J21510
体系的課題番号
JP18J21510
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
3,100,000円
(直接経費)
3,100,000円
(間接経費)
0円
資金種別
競争的資金

今年度は、speed-accuracy tradeoff状況(速さと正確さのトレードオフがある状況;SAT状況)下で2者がどのように社会情報(相手の意思決定)を処理し、相互作用するかを実験室実験により検証した。2者が互いの意思決定に対してどのような重みづけをするかという問いは従来より心理学・行動生態学領域で検証されてきたが、社会情報が常に自分の意思決定より先行していることを踏まえると、時間(speed)は社会学習・集団意思決定において重要な要因である。また、SAT状況における個人の意思決定は実験・数理モデルにより検証されている一方で、社会情報がどのように処理されているかは未だ検証されていなかった。
認知モデルによる分析の結果、いくつかの重要な知見が得られた:(i) SAT状況において、人は社会情報の精度を見極めた上でフォローすることができる;(ii) SAT状況では、意思決定が正確な人ほど慎重に、不正確な人ほど拙速に判断する;(iii) 2人が互いの判断を参照しながら同時に意思決定する際は、単独個人のときよりも判断が拙速になる;(iv) (i)~(iii)の結果、理論上は2人のときのほうが正確かつ素早く意思決定できるはずであるにもかかわらず、1人/2人のパフォーマンスには差が見られなかった。これらの実験結果は、人間の認知メカニズムを理解する上で生態学的要因を考慮することの重要性を示唆するものである。この実験結果は第11回日本人間行動進化学会において進化心理学・数理生物学の研究者の関心を集め、活発な議論が展開された。
なお、並行して2者の長期的な協力関係の構築に関する実験室実験も実施しており、この実験の結果は現在Evolution and Human Behavior(進化と人間行動に関する国際学術誌)に投稿中である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18J21510
ID情報
  • 課題番号 : 18J21510
  • 体系的課題番号 : JP18J21510

この研究課題の成果一覧

論文

  3

MISC

  1

講演・口頭発表等

  10

メディア報道

  1