岸見 太一

移民・難民問題のような人の移動に関わる社会問題について哲学的・規範的な研究をしています。主な研究主題は、（１）移民・難民の個別具体的な政策争点に関わる問い、（２）移動の自由の価値についての規範的な問い、（３）人の移動の規範理論の方法論です。

（１）については、技能実習制度や特定技能制度のような一時的外国人労働者制度、外国人家事労働者受け入れに関する論文があります。現在は、科研費の助成を得て、収容と強制送還に特に焦点をあて研究しています。

（２）は国境開放論争(the open border debate)と呼ばれる論点です。この論点については、移動をする人と移動ができない人双方の社会的経験に着目した論考を進めています。

（３）については博士論文において展開しましたが、その中心的な議論は2019年12月に出た『社会と倫理』掲載の論文としても発表しました。哲学者自身の認知バイアスを乗り越え、移動者をはじめとする周縁化されてきた人びとの観点をふまえた推論にどのように到達するかに関心があります。