開放型二酸化炭素オゾン暴露装置内に植栽したスギ６品種のクローン苗を対象として、高CO<sub>2</sub>、高オゾン環境が光合成特性と成長に及ぼす影響を調べた。筑波１号では光合成のポテンシャルを示すV<sub>c,max</sub>（ルビスコの最大活性）に処理による影響が見られなかったが、上都賀７号では高CO<sub>2</sub>処理によりV<sub>c,max</sub>の有意な低下が見られた。このことは、上都賀７号において光合成のダウンレギュレーションが生じていることを意味する。高CO<sub>2</sub>・オゾンの複合ストレスがスギ品種の成長量へ与える影響を評価するために、D<sup>2</sup>H（［根元径］<sup>2</sup>［樹高］）を指標として用いた。生育２年目の10月の時点において、全体として、高CO<sub>2</sub>によるD<sup>2</sup>Hへの影響は認められなかったが、オゾン処理によりD<sup>2</sup>Hは増加した。各クローン毎に解析した結果、郷台１号を除く５クローンでは高オゾンによってD<sup>2</sup>Hが増加する傾向にあった。また、筑波１号のクローンでは高CO<sub>2</sub>によってD<sup>2</sup>Hが増加する傾向にあった。一方で、上都賀７号のクローンでは、高CO<sub>2</sub>・オゾンの複合ストレスにより、D<sup>2</sup>Hが低下する傾向が見られた。