2012年9月30日
ハワイ語における機能語'ana
東京大学言語学論集
- 巻
- 32
- 号
- 32
- 開始ページ
- 23
- 終了ページ
- 36
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.15083/00027525
- 出版者・発行元
- 東京大学大学院人文社会系研究科・文学部言語学研究室
東部ポリネシア諸語のひとつであるハワイ語において、'anaという機能語が頻出する。一般にこれは名詞化辞と呼ばれ、用例の提示以外で取り扱われることは少ない要素である。だが、先行研究および民話資料を参照すると、そのような単純な定義と矛盾する用例が見られ、文法記述の具体性および体系性の観点からもより詳細に取り上げ、性質を提示すべきであることがわかる。本稿ではその試みとして、'anaが実際にどのような記述をされるべき要素であるか実例の観察より考察した。その結果、'anaは名詞化辞ではなく先行する内容語の動作性を強調する要素であると定義する。ただし同時に、ポリネシア祖語研究の知見から、元来はやはり名詞化に準ずる機能を担っていたものが変化した結果であるとも予測している。またその上で、言語状況に鑑み、ある言語要素の自然変化の断絶と、後の復活という経緯において、文法記述研究がどのような影響を与えうるものかについても注目すべきであると主張した。論文 Articles
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.15083/00027525
- ISSN : 1345-8663
- CiNii Articles ID : 120005055110
- CiNii Books ID : AN10148796