本研究の目的はハワイ語文献資料、特に「三人称による語り」（民話を中心とする物語文を軸とするが、進展によってはノンフィクションも含む可能性がある）における、直示表現の分布・機能・使用規則を記述し、空間表現の特徴をさらに明らかにするため、空間に関する直示表現について、文脈情報の観点から考察することを中心とする。1年目にあたる当該年度は、概ね当初の計画に従い、主に以下のような活動を行った。
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1) 電子データの拡充：研究期間を通じて行う予定の活動である。今回は特に、公開されているハワイ語文献データベース"Ulukau"より3点について、明らかな誤植の修正や、検索をはじめとした操作をしやすい形に整形したものを作成した。これは申請者の研究全体に使用するものであるため必ずしも本課題だけのものではないが、本研究にもこのデータを活用することを企図し、実際に活用されているため記載する。
2) 指示詞の出現頻度の数値化：構築した電子データを使用し、直示表現のうち指示詞に着目して、該当する全9語の調査を行い、テキストにおけるそれぞれの出現頻度を明らかにした。
3) 移動語彙の収集：空間表現において重要な役割を果たす、何らかの形での主体の「移動」を表わす語彙にどのようなものがあるか、ハワイ語でもっとも広く使用されている辞書プクイ＆エルバートの"Hawaiian Dictionary"に含まれる移動に関する語彙をリスト化している。
4) 成果の発表：本研究課題の成果に基づき、国際学会での発表を1件、国内でのポスター発表を1件、また研究会での報告を1件行った。