共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年6月 - 2023年3月

木質バイオマスの合成・分解プロセスに学ぶ植物構造ユニットの力学的最適化戦略

日本学術振興会  科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)  新学術領域研究(研究領域提案型)

課題番号
18H05494
体系的課題番号
JP18H05494
配分額
(総額)
69,290,000円
(直接経費)
53,300,000円
(間接経費)
15,990,000円

生合成(biosynthesis)レベルの実験としては、昨年までに得られた宇宙空間で合成した酵素合成セルロースゲルの構造をより詳細に解析する為、小角・広角X線散乱法によるゲル構造の分析を試みた。また分析に先立ち、コンフォーカルサイエンス社と共同し、新たに石英ガラスを用いた反応容器の設計を行った。現在までに、新しい反応容器を用いた宇宙空間での新たなセルロースゲル調製までを完了しており、電子線散乱実験を進めている。また昨年までに作成したセルロースナノクリスタル合成酵素CDPのシステイン→セリン残基変異による安定変異体の安定化メカニズムを解明する為、調製した安定変異体の結晶構造を解明し解像度2.0Åでの立体構造情報の取得に成功した。さらに解析の結果、調製したCDP安定変異体は野生型酵素では二量体→単量体へと重合体構造が変化していることを明らかにした。現在はさらにセルロースを合成中のCDP酵素の形態を明らかにする事を目的にクライオ電子顕微鏡での解析にも取り組んでおり、これまでに野生型酵素のみの状態で解像度3.0Åの構造取得に成功している。
また生分解(biodegradation)に関する研究としては、セルロース分解性細菌由来セルラーゼの高速原子間力顕微鏡による動的可視化の結果から、プロセッシビティの獲得が蛋白質レベルの収斂進化によるものであることを提唱し、その成果を米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America IF=9.412)に報告した。さらに生改変(biomodification)実験としては、トマトが生産するβ-ガラクトシダーゼおよび担子菌が生産するβ-ガラクタナーゼのX線結晶構造から、β-ガラクタンをエキソ型で分解する酵素の分子機構を明らかにした。モモ由来エクスパンシンの機能に関しても反応性をさらに深く調べたところ、キシランの分解活性を持つことが明らかとなってきた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PLANNED-18H05494
ID情報
  • 課題番号 : 18H05494
  • 体系的課題番号 : JP18H05494