共同研究・競争的資金等の研究課題

1997年 - 1998年

ヒステリシス素子を含む大規模非線形回路網のダイナミクス解析と画像処理への応用

日本学術振興会  科学研究費助成事業 奨励研究(A)  奨励研究(A)

課題番号
09750434
体系的課題番号
JP09750434
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
2,200,000円
(直接経費)
2,200,000円
(間接経費)
0円
資金種別
競争的資金

両素の最小単位が2値出力のみしか取り扱うことが出来ないプリンタ等の出力装置において多階調を表現する手段の一つに面積階調法ど呼ばれる手法がある。本研究では面積階調法に基づいた画像処理をヒステリシス素子を含む人工ニューラルネットを用いて行うことを目的とした。人工ニューラルネットはディジタル計算機のプログラムに相当するものが各ニューロンの結合係数であり、結合係数がその処理能力に非常に重要な役割を果たす。このため結合係数と安定平衡点との関係に注目し、その関係に関して研究を行った。面積階調法では入力1両素を複数の画素要素により表現する。これは与えられた入力に対して適切な空間量子化を行うことに相当する。従来提案されていた人工ニューラルネットを用いた量子化器では任意に与えられた入力に対して最も適切な量子化出力を確実に出力が出来ないという問題があった。そこで任意に与えられた入力に対して最も適切な量子化出力が必ず出力できるヒステリシスニューラルネットを基にした量子化器を開発、提案した。本システムは適切な量子化出力のみが安定出力となるように設計したものである。しかしながら、システムには振動解が発生する可能性がある。そこで本システムでは時定数を制御する事により、安定平衡点に収束したものであり、従来提案されているシステムとはその構造が大きく異なる。この成果は1998International Symposium on Nonlinear Theory and its Applications、1998 IEEE International Symposium on Circuits and Systems、および本年度電子情報通信学会論文誌にて公表した。任意に与えられた入力に対して適切な空間量子化結果を得ることは一種の組合せ最適化問題であり、適切な処理画像を得ることは組合せ最適化問題を解いていることに相当する。そこで本年度は時定数の異なる素子を有したヒステリシスニューラルネットが有する組合せ最適化問題の解法能力にも注目した。その結果、Nクイーン問題と呼ばれる組合せ最適化問題に対して本システムが非常に高い解法能力を有することを明らかにした。この場合も組合せ最適化問題に対して与えられる拘束条件を満足する出力のみが確実に安定となるようにパラメータを設定した上で、時定数の制御により解への収束を高めたものである。この結果は1999 IEEE International Symposium on Circuits and Systemsと電子情報通信学会論文誌にて1999年内に公表予定である。またヒステリシスニューラルネットワークのダイナミクスに関して理論解析を行なった。系に存在する安定平衡点の全解探索に関する結果を電子情報通信学会論文誌にて公表した。また本システムには安定平衡点のみならず安定周期解、非周期解等多彩なアトラクタが存在する。そこでアトラクタの中でも非周期解に注目し、その分岐現象等について理論解析を行なった。この解析結果はIEEE論文誌にて1999年内に公表予定である。

リンク情報
URL
http://kaken.nii.ac.jp/d/p/09750434.ja.html
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-09750434
ID情報
  • 課題番号 : 09750434
  • 体系的課題番号 : JP09750434