2020年4月 - 2023年3月
大自由度力学系のアトラクタのダイナミクス解析と群知能創発との関係解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
本研究課題の目的は、多数の素子が結合した大自由度力学系のダイナミクスを解明し、その解析結果を利用し解探索性能を向上させることである。2021年度は2次系である結合発振器を関数最適解探索に使用した場合として、我々が提案しているヒステリシスニューラルネットワークをモデルとして系の安定アトラクタを制約条件充足問題の解に対応させた場合について検討を行った。そして安定解の存在条件とその収束速度について検討を行った。その結果、提案システムでは制約条件充足問題の解探索時間が問題サイズNに対してlogNと非常に高速な探索が可能であることを明らかにした。またヒステリシスニューロンを相互結合させた系をリザバー層に適用させたヒステリシスリザバーコンピューティングを提案し、各ニューロンの時定数を変化させることでヒステリシスリザバーコンピューティングの記憶容量が増大することも明らかにした。一方、粒子群最適化法ではそのダイナミクスにカオス現象を導入することで局所探索能力が向上することを明らかにした。これを一般化し各粒子のダイナミクスに適切な微小振動を与えることと参照する最適解情報を変化させることで局所解探索に関するダイナミクスが変化し、解探索能力が向上することを明らかにした。この結果を基に粒子群最適化法を多層ニューラルネットワークの学習に使用した場合に関して検討を開始した。多層ニューラルネットワークでは中間層のニューロン数および層数を増加させることによってその性能を向上させているが、エッジコンピューティングを想定し、中間層のニューロン数がより少ないシステムで同等の能力が得られることが望まれている。これを解決するために粒子群最適化法での学習を行っている。その結果、学習に要する計算コストは粒子群最適化法を用いた手法では高いものの、従来提案されている学習法よりも高精度な学習結果が得られることを明らかにした。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K11978
- 体系的課題番号 : JP20K11978