共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2022年3月

錯体水素化物固体電解質と硫黄/炭素電極材料間における界面挙動の解明と制御

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
19K15305
体系的課題番号
JP19K15305
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
4,160,000円
(直接経費)
3,200,000円
(間接経費)
960,000円

エネルギー貯蔵デバイスの高エネルギー密度化が求められている。負極材料として最も高い理論容量を有する「リチウム金属」と、正極材料として高い理論容量を有する「硫黄」から成るリチウム硫黄電池は次世代電池の中で最大の理論重量エネルギー密度を有しているが、それらの電極材料に対して高い安定性を有する電解質が登場していないことが、この電池の実現を妨げる要因となっている。錯体水素化物は、リチウム硫黄電池の電解質として相応しい固体電解質である。相応しい最大の理由は、強い還元力を有する錯体水素化物が、反応活性が非常に高いリチウム金属に対して高い安定性を有すると期待されるためである。本研究では、錯体水素化物固体電解質/リチウム負極および硫黄炭素複合体正極の界面における化学的/電気化学的安定性の評価に加え、界面に生成し得る新規の層について、その生成条件や生成メカニズムを検討し、安定な充放電サイクル寿命を有する全固体リチウム硫黄電池の実現を目指した。2019年度は低温で比較的高いイオン伝導度を有する錯体水素化物固体電解質であるLi4(BH4)3Iを用い、リチウム金属負極に対する化学的/電気化学的安定性の評価およびリチウム硫黄電池の作製/評価を行った。錯体水素化物固体電解質のリチウム金属負極に対する安定性について、リチウム金属箔を両極に用いた対称セルの充放電試験によって評価した。電圧応答の平坦性は安定性の指標となっており、錯体水素化物LiBH4はこれまでに報告されている固体電解質の中で最も高い安定性を有する固体電解質の一つであることが明らかとなった。この研究を通して、錯体水素化物を固体電解質として用いたリチウム硫黄電池の充放電サイクルにおける容量劣化は負極リチウムに由来しておらず、正極層内の劣化に由来していることが示された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K15305
ID情報
  • 課題番号 : 19K15305
  • 体系的課題番号 : JP19K15305

この研究課題の成果一覧

講演・口頭発表等

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