2019年4月 - 2022年3月
安定カオスに基づく神経計算原理の構築と視覚的注意に関する時間特性の解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
脳は外部からの情報を受け続けると共に神経細胞間の相互の結合を通じて刺激し合うことによって、自らの活性状態を保ち続ける。ヘッブは、巨視的な心理現象と微視的な神経生理機構を結びつけるために、ヘッブ学習則やセルアセンブル、位相連鎖など重要な諸仮説を提示した。特に、感覚刺激の繰り返しの反復に対して連合野の活動に再現性の高い活動が生じる際、単発の感覚事象に誘発される活動による機構化とは異なり、大きな集団の中で細胞が律動的に発火する自発活動による機構化が起きると考え、これを「内在的機構化」(intrinsic organization)と名付けた。 本研究は、この脳活動の多様かつ柔軟な性質(ランダムライクな自発性活動を示しつつ、同時に外部入力に対してコンシステントな応答を示す特性)を「安定カオス」という非線形動力学の言葉で概念化し、その計算原理としての基盤を構築することを目指している。
本年度は、カオスニューロン写像をランダムに結合したモデルを考え、数値シミュレーションと有限サイズリアプノフ指数などの非線形動力学理論を用いた解析を行なった。その結果、写像の急峻さに関わるパラメタや結合係数を操作することによって、空間的に凍結した周期アトラクタ→弱い(超過渡)カオス→安定カオス→(超過渡)カオスという遷移を示すことがわかった。また、系が安定カオスを示すとき、外部からの入力に対する再現性がカオスの場合よりも高まることも発見した。現在、リザバー計算機の枠組みで時系列の判別問題等を取り組み、論文としてまとめている段階である。
そして、分担者である北城氏と協議し、ヒトを被験者とした数知覚の脳波計測を実施することになった。Pascanu-Jaegerのワーキングメモリユニットを持つリザバーモデルを参考にこの認知問題に合わせた数理モデルを構築することになった。
本年度は、カオスニューロン写像をランダムに結合したモデルを考え、数値シミュレーションと有限サイズリアプノフ指数などの非線形動力学理論を用いた解析を行なった。その結果、写像の急峻さに関わるパラメタや結合係数を操作することによって、空間的に凍結した周期アトラクタ→弱い(超過渡)カオス→安定カオス→(超過渡)カオスという遷移を示すことがわかった。また、系が安定カオスを示すとき、外部からの入力に対する再現性がカオスの場合よりも高まることも発見した。現在、リザバー計算機の枠組みで時系列の判別問題等を取り組み、論文としてまとめている段階である。
そして、分担者である北城氏と協議し、ヒトを被験者とした数知覚の脳波計測を実施することになった。Pascanu-Jaegerのワーキングメモリユニットを持つリザバーモデルを参考にこの認知問題に合わせた数理モデルを構築することになった。
- ID情報
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- 課題番号 : 19H04183
- 体系的課題番号 : JP19H04183
この研究課題の成果一覧
絞り込み
講演・口頭発表等
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DPG Spring Meetings 2024 2024年3月21日
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XLIII Dynamics Days Europe 2023 2023年9月4日
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28th International Conference on Statistical Physics (StatPhys28) 2023年8月7日
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Dynamics Days 2023 Oookayama 2023年7月4日