共同研究・競争的資金等の研究課題

1999年 - 2001年

帝国における植民地と本国―人間の管理と統治に関する歴史人類学的研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
11610317
体系的課題番号
JP11610317
担当区分
研究分担者
配分額
(総額)
3,200,000円
(直接経費)
3,200,000円

人間を管理し、統治するテクノロジーの成立という問題領域を中心にして、厳しい分割に隔てられてきた本国と植民地の緊張にみちた相互作用を問いなおすことが本研究の目的である。旧宗主国を西洋史、旧植民地を人類学に割り付ける学問分野の分割自体が、帝国時代における世界認識をひきずっている。それを歴史的、思想史的限界としてとらえかえすことが参加者の共通理解である。この認識にたって、歴史学者と人類学者の共同作業において帝国をひとつの枠組みとして分析対象とする。本研究では特にアジア地域に植民地を持った3つの帝国、すなわちイギリス、フランス、オランダを比較することが具体的な研究課題となる。3年間の研究期間において、1)基本的資料の収集2)資料の読解と分析手法の開発、3)人間の管理と統治を解明する新たな枠組みの提議、の3点を目標としている。2年目である2000年度は、初年度と同様、まず研究分担者に資金を分配し、それぞれの受け持ちの研究地域に関する資料の収集をおこなった。それと同時に、専門的知識を持つ研究者も招いて3度にわたる研会を実施し、分析方法、どのような問題をとりあげ、どのような視点から比較するか、新たな枠組み、について検討した。この年度において新たに加わった問題領域は宗教であった。宗教は統治や管理とは別の領域のようにみえる。しかしアジアのように複数の宗教が存在している地域における植民地では、宗教は統治のテクノロジーの重要な対象であった。国民国家となって以降、民法、社会福祉、あるいは「良き国民」の育成といった国家の主要なプロジェクトの中核に宗教はある。こうして新たに加わった問題の検討とともにこの最終年度においては全体を総括する研究会を1回開催し、その議論にもとづいて各自報告をまとめ、報告書を作成した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-11610317
ID情報
  • 課題番号 : 11610317
  • 体系的課題番号 : JP11610317