2012年
冠動脈走行の評価にMDCTが有用であった左前下行枝冠動脈走行の評価にMDCTが有用であった左前下行枝完全閉塞病変を伴うSplit RCAの1例完全閉塞病変を伴うSplit RCAの1例
CVIT学会誌
- 巻
- 4
- 号
- 1
- 開始ページ
- 32
- 終了ページ
- 36
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (一社)日本心血管インターベンション治療学会
46歳男性。強い心窩部痛を主訴に救急搬送された。入院時、安静時心電図ではII・III・aVF誘導で軽度ST上昇を認めたのみで、血液検査では白血球数の上昇と高血糖、低HDL血症が認められたが心筋逸脱酵素の上昇はみられなかった。胸部X線像や腹部単純CTでは心窩部痛の原因と考えられる有意な所見はみられなかったが、胸部単純CTでは右冠動脈中部と左前下行枝近位部の2ヶ所に石灰化が認められた。また、上部消化管内視鏡検査では胃粘膜に軽度びらんを認めたのみで他の上部消化管病変は否定された。一方、心カテーテル検査では左室造影で左室収縮能は正常であったが、左冠動脈は入口部(seg.6)で途絶していた。更に右冠動脈はValsalva洞から別開口する2つの右冠動脈が認められた。いずれも動脈硬化病変は認めなかったが、右冠動脈の前方の血管は後下行枝の先端から左冠動脈末梢へ、後方の血管は円錐枝と後下行枝からそれぞれ左冠動脈中部に豊富な側副血行路で供給していた。以上、これらの所見を踏まえて、患者は副鼻腔炎と鼻茸の手術後に待機的に経皮的冠動脈形成術を施行し、術後はアスピリンをはじめクロピドグレル、カルベジロール・カルシウム拮抗薬ほか、スタチン、経口糖尿病薬の内服を行った結果、経過良好となった。
- ID情報
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- ISSN : 1884-0027
- 医中誌Web ID : 2012249005