2015年9月
ウシ乳腺上皮細胞における炎症性サイトカイン遺伝子発現に及ぼすトレハロース添加の影響
家畜感染症学会誌
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- 巻
- 4
- 号
- 3
- 開始ページ
- 87
- 終了ページ
- 98
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
- 出版者・発行元
- 家畜感染症学会誌編集委員会
大腸菌性乳房炎の対策として、エンドトキシン(ET)誘導による炎症性サイトカイン産生亢進を防ぐことが重要である。トレハロース(TRE)には抗炎症作用があるが、ウシ細胞に対する影響は不明である。本研究では、大腸菌の乳房内感染時、最前線で炎症を起こすウシ乳腺上皮細胞(BMEC)に着目し、リポ多糖(LPS)刺激実験により、炎症性サイトカイン発現亢進に対するTREの抑制作用および機序について解析を試みた。その結果、LPS刺激により誘導されるIL-1βおよびTNFα mRNAの発現亢進に対するTREの抑制作用は認められなかったが、TRE 100mM添加においてIL-6 mRNA発現亢進が有意に抑制された(p<0.05)。LPS無刺激下においてもTRE 100mM添加によりIL-6 mRNAの基礎発現レベルが有意に低下した(p<0.05)。一方、TRE 100mM添加は受容体群TLR4およびMD-2 mRNA発現を有意に増加(p<0.05)させたが、シグナル伝達経路分子NF-κBおよびMAPK ERK1/2の活性化に影響はなかった。また、ウシ乳腺組織およびBMECにおけるTRE受容体(T1R3)mRNA発現が確認された。以上より、BMECにおいてTREのIL-6発現抑制作用が新規に見出され、その機序はNF-κBおよびMAPK ERK1/2を介したLPS-TLR4シグナル伝達経路以外にあり、T1R3を介する可能性が示唆された。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 2186-7208
- 医中誌Web ID : 2015400610