共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2022年3月

水域生態系における薬剤耐性菌の伝播と感染メカニズムの解明への挑戦

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)
  • 小林 由紀
  • ,
  • 松井 一彰

課題番号
19K12357
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

現在,薬剤耐性問題は日本国内にとどまらず,世界的な大きな公衆衛生上の問題となっている.WHOではワンヘルスという概念を提唱しており,人間の健康は,人間だけに着目するのではなく,動物やそれを取り囲む環境にも配慮しなければならないというものである.感染症問題が重視される昨今,院内だけにとどまらず,動物や環境も含めて人間の感染症問題に取り組んでいかねばらならない.しかし,環境中にも薬剤耐性菌が流出していることが考えられるにも関わらず,現状はほとんど研究例が乏しく,現況はほとんどわかっていない.そこで,本研究では,宇部市内を流れる真締川内の薬剤耐性菌の動態を調べることを目的とした.さらに,薬剤耐性菌がどのような場所で生息し,そのような経路をたどって他の生物を経由していくのかを探索することを目的とした.
手法は培養による方法と非培養法(分子学的手法)により検出する.河川水の水質を現地で測定するとともに,各地点で採水し,試水の一部を培地上で培養,一部をDNA抽出し細菌の種同定や保持する薬剤耐性遺伝子を検出する.また,薬剤耐性菌が他の生物にどのように伝播するかを調べるために,細菌の捕食者である原生生物を使用し,薬剤耐性菌を捕食による消化率を室内実験で調べる.
この研究により,自然河川においてどのような薬剤耐性菌がどのような環境で生息するか,またその細菌がどのような経路をたどって他の生物に伝播するかを明らかにする結果を提供したい.環境中の薬剤耐性菌については本国ではあまり報告されていない.しかし既に東南アジアでは多くの報告例がある.本国でも現状をまずは把握し,これらの耐性菌がヒトに感染することを防ぐよう対策をたてる研究になる.