共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

アルタイ諸言語を対象とした環境の変化と言語の変容に関する総合的研究

科学研究費助成事業  基盤研究(A)

課題番号
18H03578
配分額
(総額)
44,460,000円
(直接経費)
34,200,000円
(間接経費)
10,260,000円

本研究課題ではアルタイ諸言語(チュルク諸語・トゥングース諸語・モンゴル諸語)を対象とし,環境の変化(言語外的要因)と言語の変容の間の影響関係を探求している。現地調査(言語構造および言語外的な環境の観察)と文献言語の調査研究により、ユーラシア大陸各地におけるアルタイ諸言語の言語変容の事例を集約しつつある。
言語の変容に影響する要因として、3つの環境の変化(人の移動・都市化・宗教の導入)を中心的観点とし、研究が蓄積されつつある。次のような研究を進めた(一部を示す)。a. シベ族が中国東北地区から新疆イリに移動した(18世紀半ばすぎ)ことに伴う言語の変容を、文献言語である満洲語や、東北地区にわずかに残る満洲語口語と比較対照することによって、明らかにしようとしている。母音・子音の体系や、動詞活用に注目し、成果を国際学会などで発表した。b. 中国側に亡命・移住したブリヤート語話者の子孫が、移動(越境)・都市化(都市部での定住化)に伴ってどのように母語が変質したか、その実例を分析し、まとめたうえで国際学会にて報告した。c. キルギス語、カザフ語においてイスラーム的価値観の定着が言語に及ぼす影響を述語表現を中心に調査を行なった。
2018年度末には、九州大学において成果発表の研究会を行なった。また、同じく年度末に、ロシアとチェコから研究者を3名招聘し、九州大学と京都大学において国際研究集会を開催した。テーマは、ロシア語と中国語の言語接触、モンゴル語とシベ語の言語接触などに関するもので、本研究課題とも密接に関連しており、日本側との学術交流が深まった。
そのほか、国際学会での発表や、海外での現地調査(ロシア、台湾、オーストラリアなど)、学術交流も、積極的に行なった。
言語の変容に影響する要因として、3つの環境の変化(人の移動・都市化・宗教の導入)を中心的観点としている。それぞれの言語変容の事例は、多くのアルタイ諸言語を対象に、順調に集約されつつある。また、それぞれの成果は、国内の学会や国際学会などでも発表され、論文も作成されている。これらの状況から、本研究課題の研究は、おおむね順調に進展していると言える。
言語の変容に影響する要因として、3つの環境の変化(人の移動・都市化・宗教の導入)を中心的観点としている。それぞれの言語変容の事例は集約されつつある。今後は、さらなる事例の集約に加え、他の観点を探ることや、環境の変化と言語の変容の関係について何が言えるのかの一般化が求められる。また、海外の研究機関と積極的な連携を行なうことも必要である。

リンク情報
URL
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18H03578
ID情報
  • 課題番号 : 18H03578

この研究課題の成果一覧

論文

  2

書籍等出版物

  2

講演・口頭発表等

  5