共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2024年3月

セラミックス接合界面での非平衡な気液固反応ダイナミクスの解明と高耐熱接合への応用

日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(C)

課題番号
21K04683
体系的課題番号
JP21K04683
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
4,160,000円
(直接経費)
3,200,000円
(間接経費)
960,000円

セラミックスの低温接合と接合体の高温使用を両立するため,接合時には低い温度で融け,接合後には高い温度でも融けなくなるという,新機能を有したフィラー(接合時に間に挟み込む材料)の開発研究を行っている。その機能の根源は,フィラーに含まれる添加元素の蒸発や化学反応を利用して,フィラーの融点を制御する点にある。一方で,このような添加元素の特殊な振る舞いが十分に理解されていないため,接合界面に出現する気体・液体・固体が関与する複雑な接合機構(ダイナミクス)が明らかになっていない。本研究では,そのダイナミクスに関する知見を体系化することで,プロセス設計の指導原理の確立をめざしている。
令和3年度は,これまでの研究で上記の新機能を実証済みのSi-Mg複合フィラーを用い,各種セラミックスの接合を実施した。この系では約950℃以上でSi-Mg共融液相が生成するため,液相を介した接合に供することができる。一方,Mgは蒸気圧が非常に高いため,接合温度での保持中にMgが液相中から蒸発し,残ったSiがその温度で等温凝固することで,固相Si主体の接合部が形成される。このような接合機構についての速度論的知見を得るため,接合温度を変化させて接合し,得られた接合体の接合部の微細組織や元素分布を調査した。その結果,いずれの接合部にもMgの一部が残留しており,その組成は接合温度によらずほぼ同じであった。この結果は,Mgの蒸発速度それ自体は十分速く,律速過程ではないことを示している。接合部において,液相が固相に取り囲まれて孤立することにより,物質移動経路がなくなり,接合部にMgが残留するという機序が考えられる。接合強度が接合部のMgの存在形態に依存する可能性も見出した。これらの手がかりに基づき,Mg蒸発の促進(物質移動経路の確保)および接合強度向上のためのフィラー設計指針の考察を進めた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K04683
ID情報
  • 課題番号 : 21K04683
  • 体系的課題番号 : JP21K04683