髙瀬 航平
基本情報
- 所属
- 京都大学 大学院文学研究科・文学部 特定研究員(学振PD)
- 学位
-
博士(文学)(2026年3月 東京大学)修士(文学)(2017年3月 東京大学)学士(文学)(2015年3月 東京大学)
- 連絡先
- kouhei.takase
gmail.com - J-GLOBAL ID
- 202001005548034742
- researchmap会員ID
- R000009470
研究関心
私の関心は、近現代日本における国家と宗教の関係史です。
具体的には、(1)国民国家における様ざまな制度(立憲主義、公教育、徴兵、戸籍、記念碑など)は、日本の「宗教」の制度的位置づけをどのように構築したのか、(2)この「宗教」の制度化過程において、国内外の政治権力や諸宗教団体(キリスト教、神道、仏教など)はどのような役割を果たし、また「宗教」の制度的位置づけからどのような影響を受けたのかを研究しています。
博士論文の概要
博士論文(2026年3月学位授与)では、近現代日本における公教育と宗教の関係の原型がなぜ、どのような過程を経て構築されたのかを明らかにしました。この原型とは、中央政府の管理のもと、宗教教育が禁止された官公立学校と、宗教教育が容認された私立学校とが、ともに公教育を担う体制を指します。博士論文では、この体制が制度的に確立された時期を1900年代と見なしたうえで、そこへ至る文部省の政策決定過程を検討しました。
博士論文の新規性としては、以下の2点を挙げられます。第1に、文部省資料の不足を補完するため、従来使用されてこなかったものも含め日本語・英語の多様な資料を国内外の複数のアーカイブを利用して収集・分析しました。第2に、中央政府の主導性が強調されてきた先行研究の議論を再考するため、それ以外の諸アクター、具体的には諸宗教団体、地方政府、外国政府が公教育と宗教の関係構築に果たした役割を新たに検討しました。
博士論文の結論としては、以下の3点を主張しました。
第1に、1899年には官公立学校および正規の初等・中等私立学校における宗教教育・儀式の禁止が法制化された。しかし、先行研究の議論とは異なり、その理由は欧米諸国から取り入れた「教育と宗教の分離」理念を制度化するためでも、教育勅語に基づく天皇主義的公教育を確立するためでも、キリスト教系学校を抑圧するためでもなかった。文部省が学校における宗教教育・儀式を禁止した理由は、改正条約の実施・治外法権の廃止・「内地雑居」の開始を契機として、文部省の管轄下に宗教系学校を新たに編入するという宗教系学校政策の転換が行われ、結果として学校教育制度内において宗教教育が可能な領域と不可能な領域とを区分する必要が生じたためであった。言い換えると、明治期日本における宗教教育の禁止は、公教育と宗教が分離された結果ではなく、むしろ公教育内に宗教系学校が包含された結果であった。
第2に、この公教育と宗教の関係は、特定のグランドデザインに基づき設計されたものではなく、文部省とその内外の様々なアクターと間の折衝と妥協の産物であり、それゆえ不安定で折衷的なものであった。博士論文では、宗教系学校の監督をめぐる文部省内の様々な政策立案、地域の中等教育をめぐる文部省・府県・宗教団体の間の折衝、キリスト教系学校における宗教教育の禁止をめぐるキリスト教宣教団体・日本政府・米国政府の間の折衝、宗教系学校への公的特典付与をめぐる仏教諸宗派・日本政府・帝国議会の間の折衝を明らかにしました。
第3に、こうした不安定で折衷的な体制が、その後も近代日本の公教育と宗教の関係を規定する基本的な枠組みとして存続できた一因は、大日本帝国憲法における信教の自由保障が制度的に脆弱であり、行政府には新たな立法を経ずに自身の裁量で政教関係を調節できる権限が認められていたためであった。言い換えると、日本における「公教育の非宗教性」規範の制度化は、「教育と宗教の分離」という理念を直接的に実現したものではなく、行政権による公教育と宗教の関係の恣意的な弥縫の可能性を前提に維持された。
その他の研究
博士論文での議論の他には、日本語話者と英語話者の双方による「日本の宗教」の翻訳とその影響についても調査しています。現時点では、(1)日本の文部省が1893年のシカゴ万国博覧会向けに制作した歴史書「にほんれきし」における「神代」の取り扱い、(2)イギリスの日本語学者で帝国大学教員のバジル・ホール・チェンバレンによる『古事記』の英語訳と、同時代のイギリスの人類学的神話研究および日本の国学的『古事記』研究との関係について論文を公刊しました。
研究の意義
基本的には明治期日本に関するミクロな研究を行っておりますが、将来的には次の2点のよりマクロな研究への貢献を試みています。
- 近現代日本における国家と宗教の関係の歴史を、中央政府が主導し特定の理念が実現されていく単線的な過程としてではなく、国内外の複数のアクターが関与し、複数の構想がお互いに競合していた複雑で多元的な過程として記述する。
- 「宗教」の制度化過程の歴史的解明を共通の目的として、他の地域における国家と宗教の関係との比較研究を行い、ひいては「宗教」のグローバルヒストリーへと日本研究の立場から貢献する。
ご連絡は、kouhei.takase[@]gmail.comまでお気軽にお願いいたします。
経歴
3-
2026年4月 - 現在
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2021年7月 - 2026年3月
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2019年4月 - 2021年3月
学歴
5-
2023年4月 - 2025年3月
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2017年4月 - 2023年3月
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2015年4月 - 2017年3月
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2013年4月 - 2015年3月
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2011年4月 - 2013年3月
受賞
2論文
13-
2026年3月 査読有り筆頭著者
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現代宗教2025 105-128 2025年3月 招待有り筆頭著者
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東京大学宗教学年報 41 216-252 2024年3月 筆頭著者
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宗教研究 97(3) 79-104 2023年12月 査読有り筆頭著者
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東京大学宗教学年報 39 67-83 2022年3月31日 筆頭著者
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宗教学論集 = Journal of religious studies / 駒沢宗教学研究会 編 41 61-88 2022年 査読有り筆頭著者
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宗教研究 95(1) 151-174 2021年6月 査読有り筆頭著者
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東京大学宗教学年報 38 69-83 2021年3月31日 筆頭著者
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次世代人文社会研究 17 107-130 2021年 査読有り筆頭著者
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東京大学宗教学年報 37 41-56 2020年3月31日 筆頭著者
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International Research Forum Religious Cultures in Asia: Mutual Transformations through Multiple Modernities - 27-37 2020年 筆頭著者
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東京大学宗教学年報 = Annual review of religious studies / 東京大学文学部宗教学研究室 編 (35) 79-94 2018年9月 筆頭著者
-
東京大学宗教学年報 = ANNUAL REVIEW OF RELIGIOUS STUDIES 34 215-227 2017年3月31日 筆頭著者
MISC
2-
近代仏教 33 15-24 2026年5月 招待有り筆頭著者
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宗教研究 = Journal of religious studies / 日本宗教学会 編 96(2) 525-530 2022年9月 招待有り
講演・口頭発表等
20-
「宗教と社会」学会第34回学術大会 2026年6月6日
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第33回日本近代仏教史研究会研究大会シンポジウム 2025年5月 招待有り
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日本宗教学会第83回学術大会 2024年9月
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教育史学会第67回大会 2023年9月23日
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日本宗教学会第82回学術大会 2023年9月10日
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9th Cooperative Research Meeting of International Japan Studies Graduate Students, hosted by the Japan Committee at the University of Chicago Center for East Asian Studies 2023年3月5日
-
教育史学会第66回大会 2022年9月25日
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日本宗教学会第81回学術大会 2022年9月10日
-
教育史学会第65回大会 2021年9月25日
-
日本宗教学会第80回学術大会 2021年9月8日
-
The 12th Research Showcase 2021年2月18日
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日本宗教学会第79回学術大会 2020年9月20日
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科研・三菱財団助成金共催 グローバル禅ワークショップ 2020年6月20日
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日本宗教学会第78回学術大会 2019年9月13日
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Religious Cultures in Asia: Mutual Transformations through Multiple Modernities 2018年10月20日
-
日本宗教学会第77回学術大会 2018年9月8日
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日本近代仏教史研究会第26回研究大会 2018年5月26日
-
西日本宗教学会第8回学術大会 2018年3月20日
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第2回東アジア宗教研究フォーラム「戦争と宗教研究」 2018年2月24日
担当経験のある科目(授業)
2-
2018年 - 2022年
共同研究・競争的資金等の研究課題
2-
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費 2026年4月 - 2029年3月
-
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費 特別研究員奨励費 2019年4月 - 2021年3月