共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2020年3月

経済学分野を中心とした科研費の論文生産性に与える効果に関する基礎的研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究促進費
  • 大湾 秀雄
  • ,
  • 大西 宏一郎
  • ,
  • 細坪 護挙

課題番号
17K18452
配分額
(総額)
9,308,000円
(直接経費)
7,160,000円
(間接経費)
2,148,000円

経済学分野の科研費データベース、SCOPUS論文データベース、日本経済学会発表記録を整理結合したデータセットを用いて、科研費交付がその後5年間の論文生産性(論文数、引用数)に与えた影響を計測した。具体的には、審査評点データを用いて、わずかな評点の違いが採択の成否につながった研究者同士を比較することで、因果関係を特定する回帰不連続デザインを用いた。結果をまとめると、(1)科研費の交付は論文数を17-21%、引用数を23-37%増加させる、(2)費用対効果で見ると、生産性押上効果は、若手研究・スタートアップが基盤研究Bの4倍、基盤研究Cの1.6倍ある、(3)有意な生産性押上効果は理論研究では認められない、(4)地方に比べて、首都圏・京阪神圏の大学の研究者に与える影響が2倍大きい、(5)正教授にとっての効果は、それ以外のランクの研究者に比べて小さい。ただし、大型予算の研究代表者ほど、あるいは正教授ほど、代替的な財源を持つ傾向があるため、効果が過少に推定されている可能性がある。また、地方大学の研究者ほど旅費が余分にかかることや、共同研究相手の発掘が容易ではない点などには注意が必要である。結果の解釈は慎重に行う必要があるものの、これらの結果は、科研費の配分において、効果に応じた予算配分を行うことによって、国全体の研究生産性が改善できる可能性を示唆している。また、本研究では、二次審査の審査員が、過去の研究実績や科研費獲得実績に影響を受ける傾向が強いことも併せて示しており、研究キャリアの初期に発生した差がその後も強化される可能性を示している。二次審査で順位の入れ替えがないグループの方が、科研費の効果が高くなる傾向も確認しており、近年の科研費審査プロセスの変更が効率性に寄与したことを示唆する。