共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2022年3月

アンコール遺跡群における石材劣化の新展開とその集学的研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

課題番号
17H01628
体系的課題番号
JP17H01628
配分額
(総額)
41,210,000円
(直接経費)
31,700,000円
(間接経費)
9,510,000円

5月に国内全体会議を実施し、研究体制および役割分担の確認を行った。海外調査は8月、12月、2月、3月に実施した。各調査研究領域の項目については次のような調査・研究を行った。
①保存状態調査研究:今年度は昨年度行った各石材配列図の作図に関する補足調査として、新規クリーニング実施箇所の石材配列図の作図、及び昨年度作図した図面の精緻化を行った。全体の計測を行うことの出来る「写真測量技術」を導入し、昨年度作成した写真測量データと繋ぎ合わせた。
②劣化メカニズム調査研究:バイヨン42塔東側十字回廊において、乾季の末期にあたる2月に砂岩材の含水率調査を行った。その結果、雨季であると比べて含水率がかなり低くなっているが、雨季の初期とそれほど変化していないことが明らかになった。微生物研究は調査地点を増やしアンモニアの発生源となるコウモリの生息分布をバイヨン及びアンコールワットで調べ、アンモニアの砂岩部材への供給は現在も継続していることを示した。石材劣化部位より分離した糸状菌のテストピースへの接種を行い、砂岩の構成鉱物の剥離に伴う表面形状の著しい劣化の進行のプロセスを確認した。着生微生物の物理的除去の評価のため、北東の柱で採集した地衣類のrDNA ITS領域を増幅・配列決定し、Dirinaria sp., Pyxine sp.などと同定した。
③整備影響調査研究:バイヨン十字回廊(塔241-42付近)屋根の充填材料の選定、施工方法の開発、その評価を実施し、その成果を元に屋根の漏水防止処置を行った。また以前に試験施工した地点の強化、撥水および微生物叢などに関する調査を実施した。
④モニタリング技術研究:浮彫の経年変化を観測するため、カラーカメラとLiDARの融合による移動型3次元レーザ計測システムの開発を行った。またバイヨン寺院において当システム及びハンディ3Dスキャナ、LiDARによる計測を行った。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17H01628
ID情報
  • 課題番号 : 17H01628
  • 体系的課題番号 : JP17H01628

この研究課題の成果一覧

MISC

  1
  • 松井敏也, 澤田正昭, 河﨑衣美, 原光二郎
    アンコール遺跡調査報告書 2016-2021 104-114 2022年2月