共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2020年3月

上皮管腔形成におけるRacGAP因子FilGAPの機能解析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
17K07390
体系的課題番号
JP17K07390
配分額
(総額)
4,940,000円
(直接経費)
3,800,000円
(間接経費)
1,140,000円
資金種別
競争的資金

平成30年度には、管腔形成においてRho/ROCKシグナルの下流でFilGAPが果たしている役割を分子レベルで明らかにすることを目的に研究を行い以下の知見を得ることができた。
1)細胞間相互作用に重要で、管腔構造の形成にも関わっているE-カドヘリンとFilGAPの関係を解析した。
管腔形成後期には、細胞間接着部位にE-カドヘリンが観察されたのに対して、ROCK阻害剤の添加によりE-カドヘリンの局在が消失した。また、恒常活性化型FilGAP ST/D 変異体を発現させた細胞でのE-カドヘリンの局在を調べたところ、ROCK阻害剤を添加しても、管腔構造の先端部では、E-カドヘリンは細胞接着部位に局在していることが明らかになった。以上の結果から、FilGAPの管腔構造の安定化は、細胞間接着部位におけるE-カドヘリンの局在の安定化によることが示唆された。
2)FilGAPのリン酸化がHGFの添加により細胞内で変化するか抗リン酸化FilGAP抗体を用いて検討した。
FilGAPの6箇所のリン酸化部位のうち402番目のセリン残基のリン酸化がFilGAPの活性化に重要であることがわかっている。そこでリン酸化されたセリン402を認識する抗体を用いて、リン酸化FilGAPの細胞内局在を解析した。2次元でMDCK細胞を培養し、FilGAPの細胞内局在を観察した。その結果、リン酸化状態に依存しない抗FilGAP抗体で細胞を染色したところ、FilGAPは細胞間接着部位と細胞質に観察されたが、リン酸化されたFilGAPを認識する抗体で染色したところ、リン酸化FilGAPのより強い局在が、細胞間接着部位に観察できた。以上の結果から、リン酸化されたFilGAPは細胞間接着部位に局在し、E-カドヘリンの安定化に関与していることが示唆された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17K07390
ID情報
  • 課題番号 : 17K07390
  • 体系的課題番号 : JP17K07390