炭素及び窒素同位体を用いた森林土壌有機物の動態研究
2nd International Workshop on Response and Adaptation of terrestrial Ecosystem Carbon, Nitrogen and Water Cycles to Climate Change
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- 開催年月日
- 2019年5月
- 記述言語
- 英語
- 会議種別
- 国・地域
- 中華人民共和国
森林の土壌有機物に含まれる炭素及び窒素の安定同位体比は深度とともに上昇することが知られている。安定同位体比の分布には様々な要因が関与するものの、その変動は有機物の生成・分解における同位体効果によって起きることから、安定同位体比の鉛直分布の違いは土壌有機物の蓄積・分解状況の違いを反映していると考えられる。本研究では、温暖化操作実験を実施している北海道から九州の5つの森林を対象として、深度別に土壌を採取して比重分画を行い、炭素・窒素濃度及び安定同位体比を測定することで、気候や植生の異なる森林間及び温暖化と対照区間での土壌有機物の蓄積状況の違いを調査した。結果より、九州サイトの土壌が比較的若く分解の進んだ有機物で構成されているのに対し、北海道の泥炭土壌サイトでは分解の進んでいない有機物が表層に長期間堆積していることが示され、サイト間での特徴を明らかにすることができた。また、温暖化区と対照区で同位体分布に大きな変化はなく、日本の森林の豊富な有機物蓄積により、10年程度の温暖化操作では土壌有機物の質の変化は見られないことが明らかになった。