論文

査読有り
2020年2月

メリデン版訪問家族支援実践の振り返りを通しての学び 支援の効果の一考察

日本精神科看護学術集会誌
  • 吉野 賀寿美
  • ,
  • 小松 容子
  • ,
  • 長江 美代子

61
2
開始ページ
253
終了ページ
257
記述言語
日本語
掲載種別
研究論文(学術雑誌)
出版者・発行元
(一社)日本精神科看護協会

【はじめに】筆者らは、わが国の地域精神保健医療の充実化に向けて、精神疾患を抱える人とその家族の双方を支えるメリデン版訪問家族支援(以下、Family Work)の普及に取り組んできている。本研究は、このFamily Workの効果を考察することを目的とした。【Family Workの概要】本支援は行動療法的家族療法で、(1)エンゲージメント(関係づくり)、(2)アセスメント、(3)情報共有、(4)コミュニケーション・スキル・トレーニング、(5)問題解決と目標達成、(6)再発サインと再発予防計画、(7)危機介入、(8)その他の技能習得で構成された支援である。【研究方法】Family Workを実施したうち、2ケースについて記録からデータ収集を行い、事例研究を行った。倫理的配慮として、対象者に研究目的と方法について書面と口頭で説明をした上で同意を得た。【結果】ケース1において、アセスメントから構造化されたセッションは、(1)病の体験と再発サインについての情報共有、(2)家族間でのより良好な会話をめざすコミュニケーション・スキル・トレーニングと家族会議、(3)病的体験から起こる困り事に対処するための問題解決と目標達成であった。この構造に沿って支援を提供した結果、「本人と家族の体験の違いを理解」「『命令』から『幻聴』への変化」「腫れ物に触るような会話から素直に意見を伝える」「家族の意向のみによる治療判断から本人・家族が相談の上での治療判断」といった変化がもたらされた。ケース2においては、(1)再発サインと病気についての情報共有、(2)ストレスを溜め込まないためにコミュニケーションスキルの習得、(3)家族みんなの意見が取り入れられる問題解決技法と今後の目標達成というセッションが構造化され、「本人の体験と家族の認識のズレを理解」「両親の決定から本人と両親が話し合って決定」「『想像』から『妄想』への変化」「病気を理解することで、母親のストレスが減る」という変化がもたらされた。【考察】Family Workの効果として、「当事者本人、家族がお互いの体験に対する理解が深まる」「家族内のコミュニケーションが増える」「家族のストレスが減る」という3つの効果が見出された。これらの効果は、Family Workのもつ「家族固有のニーズに応じて柔軟にセッションを構成できる」「その家族特有の事柄を取り扱うことができる」「タイムリーな支援を提供できる」という特徴によってもたらされていた。【利益相反】本論文について発表者らが開示すべき利益相反関係にある企業などはない。(著者抄録)

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