2019年4月 - 2022年3月
環境倫理学と民衆に根差す思想の応答
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
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2021年度最大の業績は、本研究の分担者である吉永明弘が監訳者の一人として、勁草書房から刊行したK.S.フレチェット『環境正義』である。フレチェットは丹念に個別事例を分析することを通して理論形成を行う、本邦ではまず見かけない完全なボトムアップ型の研究を行う倫理学者である。すなわち、フレチェットは環境不正義に苦しむ当事者の活動から学ぶことを通して理論形成を行っており、その方法論の貫徹ぶりにも学ぶところが多い。本書の方法論や個別の倫理学的考察は、これまで本邦の哲学や倫理学界が必ずしも有益な応答や研究の蓄積をなしてきたとは言えず、例えば社会学に比べて遅れを取っている公害問題や、2011年3月11日から生じた福島第一原発事故について、理工学や社会科学とは異なる視点で研究を行う際に、今後第一に参照されるべきものである。この『環境正義』の翻訳には、吉永のほか、分担者である熊坂元大、代表者山本剛史も携わった。
吉永明弘はこのほかに、『はじめて学ぶ環境倫理 ――未来のために「しくみ」を問う』(ちくまプリマー新書)を単著として刊行し、自身が推進する「ローカルな環境倫理」への入門を啓蒙するものとなっている。
その他、今年度は研究分担者各位による学会発表や書評の投稿が目立った。代表者は言叢社から刊行する予定の書籍の執筆にほぼ専念した1年であり、分担者熊坂は来年度刊行のめどが立った環境徳倫理学の書物の翻訳にほぼ専念した。
吉永明弘はこのほかに、『はじめて学ぶ環境倫理 ――未来のために「しくみ」を問う』(ちくまプリマー新書)を単著として刊行し、自身が推進する「ローカルな環境倫理」への入門を啓蒙するものとなっている。
その他、今年度は研究分担者各位による学会発表や書評の投稿が目立った。代表者は言叢社から刊行する予定の書籍の執筆にほぼ専念した1年であり、分担者熊坂は来年度刊行のめどが立った環境徳倫理学の書物の翻訳にほぼ専念した。
- ID情報
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- 課題番号 : 19K00017
- 体系的番号 : JP19K00017