共同研究・競争的資金等の研究課題

2016年4月 - 2018年3月

光操作技術を用いた記憶定着におけるアストロサイトの役割の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)  新学術領域研究(研究領域提案型)

課題番号
16H01325
体系的課題番号
JP16H01325
配分額
(総額)
9,620,000円
(直接経費)
7,400,000円
(間接経費)
2,220,000円

これまでの研究では、グリア活動が暴走する虚血状態での病態モデルを研究し、グリア作用を強力に惹起する細胞内pHに注目してきた。虚血時には、アストロサイトの酸性化が引き金となって、DIDS感受性陰イオンチャンネルが開き、グルタミン酸が放出される。本研究では、病態時だけでなく、健常時の学習・記憶過程でも、程度の差こそあれ、基本的に同じ原理のグリア作用が稼働するという仮説を検証した。まずは、グリア細胞のうち、アストロサイトの細胞内のpHが、神経活動に応じて刻々と変化し、学習課題中のアストロサイトの状態次第で、神経信号の増幅作用が亢進されたり、抑制されたりしている可能性を調べた。具体的には、生きているマウス脳内に光ファイバーを挿入して、アストロサイト細胞内イオン濃度を計測した。この研究を進めるにあたって、細胞質内に赤色pH蛍光センサー、細胞膜に緑色pH蛍光センサーを発現する遺伝子改変マウスを開発し、学習課題中のアストロサイトの活動を計測した。また、アストロサイトに発現させたArchT光刺激をすると、アストロサイトが本来持っている、神経信号増幅作用が抑制されると考えられる。したがって、もし、この刺激で学習成績が落ちるとすれば、生来のアストロサイトには神経信号増幅作用があって、それによって記憶が定着するという仮説が支持される。急性スライス標本を用いて検証したところ、小脳運動学習の成立に必須のmGluR1の活性化は、確かに、アストロサイトArchT光刺激によって減弱することが確認された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PUBLICLY-16H01325
ID情報
  • 課題番号 : 16H01325
  • 体系的課題番号 : JP16H01325