共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2022年3月

授与動詞構文の理解を支える視点取得能力の発達

日本学術振興会  科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)  新学術領域研究(研究領域提案型)

課題番号
20H05008
体系的課題番号
JP20H05008
配分額
(総額)
3,900,000円
(直接経費)
3,000,000円
(間接経費)
900,000円

本研究では、授与動詞構文といった関係性を重視した言語理解を研究し、視点取得のメカニズムを明らかにすることを目指す。授与動詞構文の理解は、物を渡す人と受け取る人との意図の共有を理解することと関連し、視点取得は階層性を持つことで「心の理論」の獲得を可能にする。したがって、当該領域の仮説である「意図共有と階層性が絡み合って直示が出現し、人間の共創的言語コミュニケーションの進化に繋がったという仮説」の実証的な検討に貢献できる。
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本研究の結果から、日本語版対人反応性指標で測定される共感性は、日本語版青年前期用敏感性尺度で測定される敏感性が媒介して、授与動詞の理解と関連することがわかった。一方で、敏感性は共感性を媒介せずに、授与動詞の理解と関連していた。このことから、視点取得の基盤は共感性にあり、感覚に対する敏感性がその上に位置して、より高次な言語理解である授与動詞構文の理解を支えるという階層性が明らかになった。
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今年度の研究成果の一部は、「物語理解における時空間となつかしさ」という題目で、心理学評論に採択された。また、「子どもの育ちを考える教育心理学」という書籍の中で、定型発達児および自閉スペクトラム症児の学習と思考・知能の発達についての論文を執筆した。
児童心理学の進歩2021という書籍において、「物語理解と感情」という章を執筆し、自閉スペクトラム症者が示す物語理解における視点取得について考察を行った。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PUBLICLY-20H05008
ID情報
  • 課題番号 : 20H05008
  • 体系的課題番号 : JP20H05008