2021年4月 - 2025年3月
有用林木における遺伝子組換え・組織培養が不要な精密育種技術の確立
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
我々はこれまでに新規膜透過性ペプチドである「ポリヒスチジン」を用いて、スギ培養細胞へゲノム編集タンパク質を一過的に導入し、狙った領域のDNA配列を改変することに成功している。この直接導入法を茎頂分裂組織に適用することで、遺伝子組換え・組織培養を介さずにゲノム編集個体を得る、「in planta直接ゲノム編集法」を確立することが本課題の目的である。本年度は(1)茎頂分裂組織へのタンパク質導入条件の検討、(2)改良型Cas9タンパク質合成系の構築、(3)標的遺伝子の単離、について実施した。
(1)について、材料としてスギ培養細胞から分化される「不定胚」を用いた。不定胚に水溶液を浸透させる条件検討を行った結果、培養期間を3日間に延長することで水溶液が不定胚全体に浸透することが明らかとなった。
(2)について、脱アミノ酵素を利用して標的とする塩基CをTに置換するTarget-AIDタンパク質の大腸菌での合成を試みた。合成したタンパク質は期待通り標的領域の塩基置換に寄与することがin vitro試験により明らかとなった。ただ、このタンパク質溶液中に混在するエンドトキシンにより細胞の成育に悪影響を与えていることが示唆された。そこで、大腸菌の株を変更し、タンパク質溶液中のエンドトキシン量を従来の1/1000に抑えることに成功した。現在この株を用いて試験で使用するゲノム編集タンパク質を合成している。
(3)について、カラマツから標的遺伝子を探索し、葉緑体合成に関与するマグネシウムキラターゼ(ChlI)遺伝子と点変異により除草剤耐性が付与されるアセト乳酸合成遺伝子(ALS)を単離した。ゲノムデータベースの情報より、カラマツにおいてChlIは複数コピー、ALSは1コピー存在することが示唆された。
(1)について、材料としてスギ培養細胞から分化される「不定胚」を用いた。不定胚に水溶液を浸透させる条件検討を行った結果、培養期間を3日間に延長することで水溶液が不定胚全体に浸透することが明らかとなった。
(2)について、脱アミノ酵素を利用して標的とする塩基CをTに置換するTarget-AIDタンパク質の大腸菌での合成を試みた。合成したタンパク質は期待通り標的領域の塩基置換に寄与することがin vitro試験により明らかとなった。ただ、このタンパク質溶液中に混在するエンドトキシンにより細胞の成育に悪影響を与えていることが示唆された。そこで、大腸菌の株を変更し、タンパク質溶液中のエンドトキシン量を従来の1/1000に抑えることに成功した。現在この株を用いて試験で使用するゲノム編集タンパク質を合成している。
(3)について、カラマツから標的遺伝子を探索し、葉緑体合成に関与するマグネシウムキラターゼ(ChlI)遺伝子と点変異により除草剤耐性が付与されるアセト乳酸合成遺伝子(ALS)を単離した。ゲノムデータベースの情報より、カラマツにおいてChlIは複数コピー、ALSは1コピー存在することが示唆された。
- ID情報
-
- 課題番号 : 21H02242
- 体系的課題番号 : JP21H02242