2019年4月 - 2022年3月
北極域の氷河暗色化と融解促進理解の新たなアプローチ.鉱物・微生物プロセスの研究
日本学術振興会 科学研究費補助金 若手研究 若手研究
氷河暗色化拡大の将来予測を行うためには,氷床コアを用いて今後,暗色域への供給が予想される鉱物の種類 ,成分,起源とその時間変化を明らかにすることが重要となる.しかし,ダスト濃度が低い間氷期の氷は分析が困難なため,ほとんど研究が行われていないことが問題であった.
本研究では,グリーンランド氷床北東部で掘削されたEGRIPアイスコアに含まれる過去100年分の鉱物ダストの走査型電子顕微鏡観察を行い,その形態と組成の時間変化について明らかにした.さらに,昨年度分析を行った北西部のSIGMA-Dアイスコアの結果と比較することで,グリーンランド氷床に飛来する鉱物の組成や起源の時空間分布をはじめて明らかにした.
SIGMAコアダストは、数十年スケールでの組成変動を示し,それはグリーンランドの地表面気温の影響を受けていることが明らかになった.一方で,EGRIPコアダストはそのような大規模な時間スケールでの変動は見られず,組成も大きく異なったことから,ダストの起源や供給プロセスが両地点で大きく異なることが示唆された.EGRIPでは,SIGMAに多く供給されていた北米起源,およびローカル起源の鉱物ダストが非常に少なく,反対にアジア起源と考えられる鉱物の割合が多かったことから,内陸の高高度に位置するEGRIPサイトには主に遠方由来のダストが飛来している可能性がある.この結果はトラジェクトリ解析からも支持された.
このような鉱物組成の違いは,それぞれの氷床末端に繁殖する雪氷藻類への栄養塩供給やさらには暗色化拡大メカニズムにも大きく影響することが予想され,暗色化拡大メカニズム解明に向けた新たな知見を得た.
SIGMAコアの分析結果は,Climate of the Past誌に発表した.
本研究では,グリーンランド氷床北東部で掘削されたEGRIPアイスコアに含まれる過去100年分の鉱物ダストの走査型電子顕微鏡観察を行い,その形態と組成の時間変化について明らかにした.さらに,昨年度分析を行った北西部のSIGMA-Dアイスコアの結果と比較することで,グリーンランド氷床に飛来する鉱物の組成や起源の時空間分布をはじめて明らかにした.
SIGMAコアダストは、数十年スケールでの組成変動を示し,それはグリーンランドの地表面気温の影響を受けていることが明らかになった.一方で,EGRIPコアダストはそのような大規模な時間スケールでの変動は見られず,組成も大きく異なったことから,ダストの起源や供給プロセスが両地点で大きく異なることが示唆された.EGRIPでは,SIGMAに多く供給されていた北米起源,およびローカル起源の鉱物ダストが非常に少なく,反対にアジア起源と考えられる鉱物の割合が多かったことから,内陸の高高度に位置するEGRIPサイトには主に遠方由来のダストが飛来している可能性がある.この結果はトラジェクトリ解析からも支持された.
このような鉱物組成の違いは,それぞれの氷床末端に繁殖する雪氷藻類への栄養塩供給やさらには暗色化拡大メカニズムにも大きく影響することが予想され,暗色化拡大メカニズム解明に向けた新たな知見を得た.
SIGMAコアの分析結果は,Climate of the Past誌に発表した.
- ID情報
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- 課題番号 : 19K20443
- 体系的課題番号 : JP19K20443
この研究課題の成果一覧
絞り込み
論文
1-
Climate of the Past 17(3) 1341-1362 2021年6月21日 査読有り筆頭著者
講演・口頭発表等
6-
日本雪氷学会 雪氷研究大会(札幌) 2022年10月1日
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日本地球化学会 2022年9月7日 招待有り
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日本地球惑星科学連合2022年大会 2022年5月26日 招待有り
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雪氷研究大会,千葉-オンライン 2021年9月13日
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雪氷研究大会2019 2019年9月