10症例の褐色細胞腫摘出術に対し、術前の循環血液量と術中循環変動に関与する因子を評価した。術前の循環血液量の平均値は78.53ml・kg-1であり、おおむね補正されていた。腫瘍から流入する中心静脈を切離した後の血圧低下は、鏡視下手術に比較し開腹手術のほうが有意に大きかった(P<0.05)。腫瘍中心静脈切離後の血圧低下は、腫瘍径にR=-0.611の、術前血中ノルアドレナリン(NA)濃度にR=-0.860の、術前尿中NA排泄量にR=-0.743の相関があった。腫瘍中心静脈切離後の血圧低下に関与する因子として、開腹手術、腫瘍径、術前血中NA濃度、術前尿中NA量が考えられた。(著者抄録)