共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2020年3月

タンパク質ポリマーの新規構造制御技術の確立と高機能な細胞培養因子創製への展開

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
18K14067
配分額
(総額)
4,160,000円
(直接経費)
3,200,000円
(間接経費)
960,000円

西洋わさび由来ペルオキシダーゼ(以下HRP)酵素反応を利用した直鎖型タンパク質ポリマーの調製を検討した。まず、新規のペプチドタグとして、隣接したシステインとチロシンを含むペプチドタグであるCY-tagの設計を行った。SpyCatcher(以下、SC)をポリマー化する標的タンパク質として選択し、SCのN末端にCYGGG、C末端にGGGCYというCY-tagを付与したYC-SC-CYの調製を行った。またタンパク質ポリマー上に集積化させるタンパク質として、緑色蛍光タンパク質(EGFP)ならびに塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)を選択し、SCと自発的に共有結合を形成するSpyTag(以下ST)というペプチドタグを付与した組み換え体を調製した。これら3種類の組換タンパク質を大腸菌発現系によって発現して、タンパク質を得ることに成功した。まず、HRPとYC-SC-CYを混合し、ジスルフィド結合を介したポリマーが調製できるかどうかについて評価した。その結果、HRPを添加した条件ならびにHRPとH2O2を添加した条件において、非還元SDS-PAGE解析によってダイマーならびに環状化したYC-SC-CYの形成が確認された。一方、チロシン残基のみをペプチドタグとして導入したY-SC-Yでは、HRPを添加した条件では変化がなく、HRPならびにH2O2を添加した条件で重合化した。これらの結果から、CY-tag内のチロシン残基で生じたラジカルは、隣接するシステイン残基へ転移し、システインの酸化反応を引き起こしていることが示唆され、CY-tag内での反応が狙い通りに進行していることが示唆された。しかしながら分子間での架橋反応効率が非常に低く、分子内で環化してしまい、ポリマーを得るに至っていないことから、リンカー部分を剛直な配列に変えるなどの検討が必要であることが示された。

ID情報
  • 課題番号 : 18K14067