MISC

2014年12月

消化管生検検体を用いた定量的PCR法による同種移植後サイトメガロウイルス胃腸炎の診断と早期治療介入の有用性

臨床血液
  • 新井 康之
  • ,
  • 近藤 忠一
  • ,
  • 北野 俊行
  • ,
  • 菱澤 方勝
  • ,
  • 山下 浩平
  • ,
  • 門脇 則光
  • ,
  • 高折 晃史

55
12
開始ページ
2400
終了ページ
2407
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
(一社)日本血液学会-東京事務局

同種造血幹細胞移植後のサイトメガロウイルス(CMV)胃腸炎は,症状や内視鏡所見のみでは診断困難である。生検組織の免疫染色も感度が低く,治療開始が遅れる可能性がある。そこで,消化管粘膜生検検体を用いた定量PCR法が,治療介入に有用かを検討した。移植後に消化器症状を認め,上部(GIF)・下部消化管内視鏡検査(CF)を施行し,CMV胃腸炎を疑い組織定量PCR法を行った症例を対象とした。GIF検体は27例中9例でPCR陽性であった。陽性例のうち8例で抗ウイルス剤を開始し,全例で1週間以内に症状が軽快した。病理では3例でCMV胃炎と診断された。一方で,CF検体では30例中12例でPCR陽性であった。抗ウイルス剤投与によりPCR陽性11例のうち10例で症状改善した。病理では5例でCMV腸炎の所見であった。今回の検討では,複数の免疫染色陰性症例からも組織定量PCR法でCMVが検出され,大半の症例で抗ウイルス剤の効果を認めたことから,PCR陽性例におけるCMV胃腸炎の早期治療介入の有用性が示唆された。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 0485-1439
  • 医中誌Web ID : 2015127166

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