論文

査読有り
2008年5月

葬送儀礼における土器形式の選択と社会的カテゴリ--縄文時代後期関東・中部地方の土器副葬と土器被覆葬

物質文化
  • 中村 耕作

85
開始ページ
1
終了ページ
31
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
物質文化研究会

①土器形式(Form)には、器形の分類概念としての側面のほか、当時の道具分類との関連が想定されてきたが、土器のカテゴリ化に関しては、製作属性と共に、使用属性の検討が不可欠である。<br />
②先行研究の検討の結果、使用属性の中でも、社会的注目度の高い儀礼行為、特に葬送儀礼における土器形式の取り扱い方の差異を検討することとした。<br />
③本稿で具体的に検討したのは、縄文時代後期の関東・中部における土器副葬・土器被覆葬である。<br />
④関東西南部と中部高地は、多少の違いはあるものの、土器形式組成やその画期はほぼ共通している。<br />
⑤土器副葬と土器被覆葬は、展開の画期、それに応じた分布域の伸縮、最盛期における遺跡内での位置関係などの点で共通性を持つ。<br />
⑥他方、中心的な分布域、使用する土器形式に相違がある。具体的には、〈関東西南部-土器副葬-深鉢・注口土器・鉢・舟形土器など〉と、〈中部高地-土器被覆葬-浅鉢・“小仙塚類型群”〉が対比される。<br />
⑦土器副葬・土器被覆葬の地域差は、関東地方全体を見た場合の葬送儀礼の地域性の一部と考えられる。<br />
⑧上記の〈地域-儀礼-土器〉の関係性は、合理性というよりも、広域に分布する土器形式の中から対比的関係をもって選択されたものと考えられる。<br />
⑨こうして形成された、土器と葬送儀礼との密接な結びつきは、地域ごとに、〈葬送儀礼に関わる土器〉としてのカテゴリ認識を形成し、そうした利用法を持たない地域との間で土器形式の持つ意味の相違を生じさせたものと考えられる。<br />
⑩土器のカテゴリ化は、本稿で取り上げた葬送儀礼に関わるものに限らず、様々な場面で行なわれていたと想定される。社会的行為と密接に関わる土器の扱い方の検討は、複雑な社会を解く鍵となろう。<br />

リンク情報
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/40016143346
CiNii Books
http://ci.nii.ac.jp/ncid/AN00341235
URL
http://id.ndl.go.jp/bib/9576625