共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2022年3月

芽生え~大木への成長を牽引する個体呼吸の根系/地上配分シフト

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
19H02987
体系的課題番号
JP19H02987
配分額
(総額)
17,030,000円
(直接経費)
13,100,000円
(間接経費)
3,930,000円

本年度は、芽生え~成木の個体レベルの光合成、蒸散速度の評価方法の開発とその検証に主眼を置いた。コロナ禍のため分担者との十分な野外測定が行えなかったが、山形大学構内にあるブナ鉢植え等を用いて、芽生え~成木の個体レベルの光合成、蒸散、呼吸の測定法を開発、検証した。樹木サイズに応じ、約数百ccから約数百Lの装置を自作して使い分けた。
光合成、蒸散は一定気温(約30℃)で光飽和時のポテンシャルを測定した。チャンバー内部にはCO2センサーとともにDCファンを入れ空気を十分に攪拌してCO2濃度変化を均一に保った。個体の蒸散速度は個体の重量減少を電子天秤で評価した。ブナ個体はブナ6産地(山形、高知、静岡、長野、岩手)、アメリカ産ブナを準備した。当年生実生から5年生の稚樹まで高さ約10cm~100cmの個体を用いた。さらに、個体光合成、蒸散速度を測定後、個体呼吸速度も測定した。
測定の結果、従来ブナについて報告されてきた葉面積当たりの光合成速度、蒸散速度とほぼ同じ値が確認された。我々が測定した光合成、蒸散速度はともに個体レベルの樹冠内の平均値である。本結果は、個体光合成、蒸散速度として生態系機能評価ベースとして価値があるだろう。さらに、水利用効率(個体光合成の最大値/個体蒸散速度の最大値)を個体レベルで評価したところ、産地間の差は不明確で、個体サイズに応じて一定傾向のシフトが確認された。
従来、個葉光合成に産地間差が知られるが、一方で、サイズに応じた光合成のシフトも知られている。しかし、芽生え~成木で【産地・環境により個体レベルの光合成、呼吸、蒸散、水利用効率の制御幅】がどのように個体サイズに応じたシフトをするか未解決である。今後は、さらに芽生え~成木へ個体サイズのレンジ幅を広げて信頼性の高い実測による検証を進める必要があろう。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19H02987
ID情報
  • 課題番号 : 19H02987
  • 体系的課題番号 : JP19H02987

この研究課題の成果一覧

論文

  8

メディア報道

  4