共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

窒化バナジウムを含有する高温潤滑複合コーティング膜の開発とその難削材加工への適用

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
18H01349
体系的課題番号
JP18H01349
配分額
(総額)
17,160,000円
(直接経費)
13,200,000円
(間接経費)
3,960,000円

本研究は多層・複合膜の創成が可能な「対向電極型アーク放電プロセス」を用いて,従来にないバナジウム含有アルミクロム窒化物コーティング膜を創成することを目的としている.
平成30年度は多層・複合膜の創成を行うため,現有のコーティング装置の電極「AIP・FAD置換型蒸着源: VACS-100」に対向させて『直進型磁界フィルタ方式の磁界ステアリング型アークプラズマ蒸発源: MF-ARC3』を増設した.平成31(令和元)年度はこの装置を用いて高温潤滑性を有するVN膜と耐熱性を有するAlCrN膜の多層化に成功し,その機械特性(摩擦係数,硬度,密着強度)を測定・評価するとともに,プリハードン鋼のエンドミル加工に適用した.創成膜は8層構造のMC (Multilayer coating)-8 (RF: AlCrN),116層構造のMC-116 (RF: AlCrN),MC-116 (RF:VN)の計3種類である.ここで“RF”は新規に増設した直進型磁界フィルタ方式(Rectilinear Magnetic Filtering)を用いた膜種を表しており, 成膜レートの違いからこの方式を使用した膜種の含有量が多くなっている.
その結果,VN/AlCrN多層膜(MC-8, MC-116)はVN 膜と同様に高温で摩擦係数が低下するが,500℃まで常温硬度を維持しており,高温での潤滑性と優れた耐熱性を示すことがわかった.
その後,この多層膜をエンドミルに施して切削実験を行った結果,MC-8 (RF: AlCrN)とMC-116 (RF: AlCrN)は高切削速度においても逃げ面摩耗幅が小さく,工具逃げ面温度も低いことを明らかにした.VNとAlCrNを多層化することによって,潤滑性と耐熱性を兼ね備えたコーティング膜の創成が可能なことが実証できた.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18H01349
ID情報
  • 課題番号 : 18H01349
  • 体系的課題番号 : JP18H01349