論文

2015年8月

多彩な自己抗体陽性の血栓性血小板減少性紫斑病に、二重濾過血漿交換を施行した1例

中部リウマチ
  • 坂井 俊介
  • ,
  • 和田 庸子
  • ,
  • 高村 紗由里
  • ,
  • 佐藤 弘恵
  • ,
  • 中枝 武司
  • ,
  • 黒田 毅
  • ,
  • 中野 正明
  • ,
  • 成田 一衛

45
1
開始ページ
37
終了ページ
38
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
中部リウマチ学会

45歳女性。長女が伝染性紅斑に感染してから6日後、悪寒を伴う発熱に続き、翌日には肉眼的血尿、嘔吐、食欲低下が出現して近医を受診、血小板の著明な減少を指摘され、著者らの施設に紹介となった。所見では貧血や著明な血小板減少、網赤血球の低下、肝機能障害ほか、LDHの高値、軽度腎機能障害、尿蛋白、尿潜血などがみられ、更に心エコーでは全周性に少量の心嚢水を、また眼科検査では両乾性結膜炎と眼底に軟性白斑が認められた。入院当日、血漿交換を試みたが、悪寒戦慄を伴う全身尋麻疹と嘔吐が出現し、FFP製剤に対するアレルギーと診断、治療を中止した。一方、骨髄穿刺検査ではdry tapで、わずかに得られた検体より骨髄の低形成が認められ、再生不良性貧血または骨髄異形成症候群が疑われた。だが、確定診断には至らなかった。以後、血漿交換を中止すると、ADAMTS13活性の著明な減少と抗ADAMTS13抗体陽性所見が持続したため、二重濾過血漿交換療法(DFPP)を併用しながらメチルプレドニゾロン(1000mg/日)によるパルス療法を開始した。その結果、血小板値の回復、LDH低下、ADAMTS13活性の上昇と抗体の陰性化を認め、DFPP中止後も血小板は維持され、ステロイドを漸減した。尚、本症例は血液疾患を背景とした自己免疫反応とパルボウイルスB19感染に伴う免疫反応の関与が考えられた。

ID情報
  • ISSN : 0916-6033
  • 医中誌Web ID : 2016101457

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