MISC

1997年3月

もんじゅナトリウム漏えい事故の原因究明; ナトリウム漏えい燃焼実験-II

PNC TN9410 97-051
  • 内山 尚基
  • ,
  • 高井 俊秀
  • ,
  • 西村 正弘
  • ,
  • 宮原 信哉
  • ,
  • 三宅 収
  • ,
  • 田辺 裕美

開始ページ
383
終了ページ
記述言語
日本語
掲載種別
機関テクニカルレポート,技術報告書,プレプリント等

「もんじゅ」2次冷却系ナトリウム漏えい事故の原因究明の一環として、原子炉補助建屋部分モデル試験装置(SOLFA-1: コンクリート製矩形セル)内に模擬漏えい配管、換気空調ダクト、グレーチングおよび床ライナ等を実機と同様に配置して、ナトリウム漏えい燃焼実験を行った。本実験の目的は、ナトリウム漏えい燃焼挙動、換気空調ダクト・グレーチングの破損挙動、床ライナ・コンクリートへの影響を確認することであった。試験後、各種の分析・調査を行い、以下の結果を得た。(1)ナトリウム漏えい燃焼挙動: 漏えい初期のナトリウム落下状況は、液滴状で換気空調ダクトに跳ね返り広範囲に飛散した。一部は、換気空調ダクト表面を伝わってコラム状に流れ、さらにグレーチング、ガス温度測定用サポートに当たり液滴となって飛散した。(2)換気空調ダクト、グレーチングの破損挙動: 換気空調ダクトは600$\sim$700$^{\circ}$Cで推移し、温度計直下周辺に「もんじゅ」より大きな欠損部が認められた。グレーチングは600$\sim$900$^{\circ}$C(最高温度1000$^{\circ}$C程度)で推移し、温度計直下近傍に「もんじゅ」で見られた半楕円状の欠損ではなく、グレーチング長手方向に広い2山形状の欠損が認められた。(3)床ライナへの影響: 床ライナ温度は主に800$\sim$850$^{\circ}$Cで推移し、3時間20分後頃に1000$^{\circ}$Cを越えた。表面は波打つように変形して、温度計直下周辺 約1m$\times$1mの範囲に大小5個の破損孔が認められた。また、温度計直下を中心に、北側と西側に減肉の大きい範囲が分布していた。(4)コンクリートへの影響: 壁、天井コンクリートは、強度測定・化学分析結果について実験前調査結果と比較して有意な差はみられず、健全性は保たれていた。床コンクリートは、ナトリウム化合物の床ライナ下部への侵入により、最大8cmの浸食がみられた。当該部では、圧縮強度に対し静弾性係数が低く、熱負荷の影響がみられたが、圧縮強度は設計基準値以上であった。(5)ナトリウム燃焼生成物の化学組成: 床ライナ上の堆積物は水酸化ナトリウムとNaFe複合酸化物Na$_{5}$FeO$_{4}$が多く含まれており、床ライナ上に約5cm以下の厚さに広く比較的平坦に堆積していた。実験実施から3日後に行われたセル内観察によると、温度計直下から遠いセル入り口側床ライナ上には、深さ約1cmの潮解液プール(水以外の主成分は水酸化ナトリウムと炭酸ナトリウム)が形成されていた。

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