2019年9月
胎児診断から始める治療戦略:診断〜予後予測からトリアージへ〜 胎児超音波検査による先天性横隔膜ヘルニアの包括的リスク評価
周産期学シンポジウム
- 巻
- 号
- 37
- 開始ページ
- 43
- 終了ページ
- 46
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (一社)日本周産期・新生児医学会
先天性横隔膜ヘルニア(CDH)の予後をより正確に予測するため、胎児超音波検査で得られる情報からリスクモデルを作成し、その妥当性について検討した。方法は、日本新生児CDH研究グループのデータベースのうち2つのコホートを用いた。1つ目は「作成コホート:新生児CDH 446例中350例(2011〜2016年、15施設)」、2つ目は「検証コホート:新生児CDH 614例中270例(2006〜2010年、72施設)」で、対象は胎児診断ありのCDHとした。アウトカムは90日死亡もしくは180日以上の入院のいずれかがある場合を重篤予後として用いた。リスク因子として「observed/expected lung area to head circumference ratio<25%」「肝脱出」「胃脱出」「右側CDH」「重篤な先天性合併症の有無」を用い、先天性合併症は超音波診断可能な疾患(心奇形、中枢神経形態異常、腹壁異常)とした。モデル作成コホートを用いて、ロジスティック回帰分析により予測モデルを作成した。得られた予測モデルは各リスク因子単独の予後予測能と比較し、さらに検証コホートでの予後予測能とも比較した。得られたモデルから重篤スコアを作成し、検証コホートを用いて検証した。結果、重篤度スコアがHigh risk群の感度・特異度・陽性的中率・陰性的中率はそれぞれ0.092・1.000・1.000・0.777であった。
- ID情報
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- ISSN : 1342-0526
- 医中誌Web ID : 2019370345