2019年4月 - 2023年3月
ラーニング・ヘルスケアをめぐる医療倫理・公衆衛生倫理上の課題に関する研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
本計画は、ラーニング・ヘルスケア・システムの可能性と限界について、臨床倫理・研究倫理に加え、公衆衛生倫理を加味して検討を行い、現在の倫理規範や関連制度に欠けている視点・論点を特定し、医療ビッグデータ時代の新しい道徳的基盤を提案することをめざす。3年度目に当たる令和3年度は、新型コロナウイルス感染症の影響を引き続き受けることとなったが、各研究者がそれまでの個別の検討テーマを土台としつつ、状況が許す範囲で成果をまとめることとした。
成果の主たる検討のひとつは、死後の個人情報の取り扱いについてである(「死後の試料・データを用いる研究活動と倫理:今日のルールと今後の課題」、精神科 40(4) 466-471、2022年)。研究倫理において「死」,「死後」をめぐる議論はきわめて少ない.そこで議論される研究参加者(対象者)の保護にせよ,個人情報の保護にせよ,基本的に想定されているのは「生者」である.倫理指針では、こうした死者に関する情報についても生者の情報と「同様」に扱うよう規定されている.ただ,死者の情報は生者の情報と同様なのであろうか.異議申し立てをする本人がいないのに,生者を想定した個人情報の保護の手段を「同様」に死者の情報に当てはめること自体,死者に特有の状況を軽視し,死者に合った保護をしていないことにほかならないのではないか。国の倫理指針以外にも,遺体研究には踏まえるべきルールがある.ルールに反映されていない多くの課題も浮上してきた.ただ,国際的にも,人対象研究における倫理は「生者」に関する者がほぼすべてであり,死者の身体やその一部分をめぐる艤論にはさらなる検討の余地がある.
その他、各分担研究者により、人の生命について生誕時から研究介入することの倫理問題、公衆衛生事業を支える道徳原理や(差別等の)政策・事業の副作用をめぐる論点をめぐる重要な成果が示された。
成果の主たる検討のひとつは、死後の個人情報の取り扱いについてである(「死後の試料・データを用いる研究活動と倫理:今日のルールと今後の課題」、精神科 40(4) 466-471、2022年)。研究倫理において「死」,「死後」をめぐる議論はきわめて少ない.そこで議論される研究参加者(対象者)の保護にせよ,個人情報の保護にせよ,基本的に想定されているのは「生者」である.倫理指針では、こうした死者に関する情報についても生者の情報と「同様」に扱うよう規定されている.ただ,死者の情報は生者の情報と同様なのであろうか.異議申し立てをする本人がいないのに,生者を想定した個人情報の保護の手段を「同様」に死者の情報に当てはめること自体,死者に特有の状況を軽視し,死者に合った保護をしていないことにほかならないのではないか。国の倫理指針以外にも,遺体研究には踏まえるべきルールがある.ルールに反映されていない多くの課題も浮上してきた.ただ,国際的にも,人対象研究における倫理は「生者」に関する者がほぼすべてであり,死者の身体やその一部分をめぐる艤論にはさらなる検討の余地がある.
その他、各分担研究者により、人の生命について生誕時から研究介入することの倫理問題、公衆衛生事業を支える道徳原理や(差別等の)政策・事業の副作用をめぐる論点をめぐる重要な成果が示された。
- ID情報
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- 課題番号 : 19H03868
- 体系的課題番号 : JP19H03868
この研究課題の成果一覧
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論文
7-
臨床薬理 54(2) 63-70 2023年3月31日 査読有り筆頭著者責任著者
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日本医師会雑誌 in press 2023年 査読有り筆頭著者責任著者
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生命倫理 32(1) 39-48 2022年9月28日 査読有り
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生命倫理 31(1) 20-28 2021年9月28日 査読有り
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Ethics & human research 43 37-41 2021年4月6日 査読有り
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医学のあゆみ 276(9) 871-875 2021年
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Journal of Epidemiology 30(9) 375-376 2020年9月5日 査読有り