共同研究・競争的資金等の研究課題

2015年6月 - 2020年3月

ゲノム解析の革新に対応した患者中心主義ELSI の構築

日本学術振興会  科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)  新学術領域研究(研究領域提案型)

課題番号
15H05913
体系的課題番号
JP15H05913
配分額
(総額)
119,210,000円
(直接経費)
91,700,000円
(間接経費)
27,510,000円

本年度は、家系毎のデータ公開・共有に関する倫理的配慮の検討を行った論文、がん患者や家族を対象としたがん遺伝子パネル検査に関する質問紙調査に関する論文、臨床試験・治験の参加者のインフォームド・コンセント(IC) の経験を明らかにした論文等が採択された。
また、医療AIの展開に伴うELSIの論点整理が進展し、医療AIの学習データとしての診療情報の確保と個人情報保護、学習機能に支援された医療における意思決定と責任のあり方、医療機関を介さない医療AIのあり方などが大きな課題であることを明らかにした。
さらに、研究への患者・市民参画の検討も進み、研究者と患者に対する質問紙調査から、がん研究者は難病の研究者に比べて、患者・市民参画導入を躊躇する傾向にあることを明らかにした。「対話のある研究」のパンフレット製作を通じて、研究者と患者・市民の双方が弁えるべきルールを明確化できた。
以上の研究成果から、診療や研究における大規模データ利用に関するELSI課題を総括する。多くのがん患者・家族が多目的な大規模データ共有の意義を認めているが、実際のデータの流れや手続きには漠然としたリスクがあり、その懸念を解消しうる場が存在していない可能性が示唆される。診療及び研究におけるICは、臨床試験・治験のように安全性や有効性が未確立の行為に関するICであっても、率直な質問や意思決定の場として活用しているとは言いがたいうえ、データ利活用に関して説明者が把握できる状況にもない。がんの診断支援や研究に不可欠な医療AIでは、大規模な診療データの利活用を前提としており、引き続き、患者・市民はデータ利用に関する同意を求められる機会が増えるだろう。本研究成果を通じて明らかになった患者・市民参画のルールを遵守しつつ推進し、診療や研究における大規模データ利用と医療AIの活用に関する啓発の手法自体を検討する必要性がある。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PLANNED-15H05913
ID情報
  • 課題番号 : 15H05913
  • 体系的課題番号 : JP15H05913

この研究課題の成果一覧

論文

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